第二日  2003/8/17 ヘルシンキ(フィンランド)  移動日
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行程

成田  11:45発  SK984
コペンハーゲン  16:15着
 17:35発  SK1710
ヘルシンキ  20:05着

事情調査内容  移動日
●事前概要説明

宿泊ホテル  RADISSON SAS ROYALHELSINKI
 ラディソン SAS ロイヤル ヘルシンキ
 п@358-969580

出国カード扱いの改善を提案したい


いよいよ出国だ。
以前、海外に行ったときに比べると、手続きが簡易になった気がする。そうだ、出国カードの記載と提出が廃止されているのである。ひとつ手続きが減るということは、それだけ便利になったわけで得をした気分になる。かつてこのカード提出によって出国カウンターが非常に込み合ったため、改善されたようである。(写真は出国手続きを待つ団員)
ところがこの措置は、当面日本人に限定されている。外国人観光客及び在日外国人が離日する時は、相変わらず煩わしいカード記載が義務付けられているというから驚く。
聞けば、自国民と外国人をこのように区別あるいは差別しているのは日本くらいというではないか。なんでこうなっているのだうろう。
防犯上の理由ではないと思われる。そもそも国内で犯罪を犯した日本人が海外へ「高飛び」するケースもあるのだから、そういう理由なら、全員にカード提出を義務付けるべきで理屈にあわない。
自国民に甘く、外国人を特別扱いするやり方は、他国からどのように見られているのか不安だ。

観光産業の育成を景気対策のひとつと位置付けている北海道にとって、外国人観光客を誘致することは大切なことだ。

KLMによる千歳・オランダ間の直行便運休に続き、日航の千歳・ホノルル便運休という厳しい状況を突きつけられている北海道としては、こうした小さなサービスの改善と積み重ねによって、世界に親しまれる空港を目指す必要があるだろう。

扱いは国レベルの問題だが、北海道から声を出さなくてはいけない。帰国後、取り上げなければならない。

(写真は団員のスーツケース10個、表示に「星野高志様ご一行」とあるのを見て、鰹谷さん。団長は俺なのになー」と)

離陸、そしてフィンランドへ


11時間の飛行機の旅は長い。メンバー一人づつから、意欲や意気込みなんか聞いてみることにしよう。

まずは、小谷毎彦(北見市選出)道議。

市議時代にも、海外視察は何度かやってきた。しかし今回ほど、テーマにそって事前に準備や勉強をして臨んだことはなかったかもしれない。国内の中小企業を、国際競争に勝ち抜けるような体質に育てたデンマーク財務省の役人と討論することが今から楽しみだ。

次は、田村龍治(胆振管内選出道議。

北欧4カ国は、気候条件が北海道とよく似ている。厳しい自然と闘いながら、それぞれの立場で工夫を凝らしながら生きている現実に直接触れることは、ものすごく楽しみだ。吸収できるだけしてきて、道議会議員としてのこれからの活動に活かしていきたい。
美味いものも食ってくるぞ。

次に、阿部義人(函館市選出)道議。

国と国を結んで橋を架けた事業はすごい。地元にも青森との長大橋を考える会があるが、現在の経済・財政事情では夢のような話である。投資対効果や、建設に伴う海域環境の問題など、現地の生の声をしっかり聞いてきたい。

次に、佐々木恵美子(十勝管内選出)道議。

予定テーマを勉強するのは当然だが、この際、北欧における男女共同社会の実態を調べてきたい。また、ほとんどの国で国会議員や地方議員の半分は女性だということも、興味の対象だ。女性議員の活動などについても事情を聞いてきたい。

次に、蝦名清悦(札幌北区選出)道議。

私のライフーワークのひとつは、環境問題だ。それぞれの国の環境政策にも興味があるが、それを可能としている市民意識についても把握してきたい。スケジュールはハードだが、何回も行けるところではないので、寝ないで勉強する覚悟で参加した。

次に、池本柳次(十勝管内選出)道議。

北欧はかなり古くから地方分権を進めてきていると聞いた。私たちの北海道と同じ寒冷地域で、どのようにして地方が自立してきたのか、実際に触れてみたい。EU統合は、それを構成する国々の主体性、さらには地域の自立が前提だと思うからである。
虫歯が疼くのが心配だが、そんなことは言ってられない。

次に、滝口信喜(室蘭市選出)道議。

驚異的な経済復興をなしとげたフィンランドに強い関心を持ちつづけてきた。そこに働き生活している人々と触れ合う機会を得られることは大きな意義がある。議員の視察は無駄だというようなことを書くマスコミもあるが、そんなことはないということを身をもって示せるような視察をやりとげたい。

団長の、鰹谷忠(網走市選出)道議。

個人的には何と言ってもノルウェーの養殖技術の最前線を見ることに、大きな興味をもっている。しかし団長として参加した以上、全体に責任を持つことは当然だ。
視察成果を、地域や議会で活かしきることを心がけて、無事に全員帰れるよう力を尽くしたい。

最後に、私、星野高志(札幌東区選出)。

前回についで、視察団事務局長をつとめる。盛りだくさんのテーマを設定したことが気がかりだが、視察内容を正確に道民に伝えられるよう努力したい。


自国の産業を巧みにアピールする空港施設


目的地はフィンランドだがデンマーク経由のため、コペンハーゲンの空港に立ち寄った。1時間少々しか時間がなかったが、主要産業の一つである木製品をアピールするためだろう、空港施設のいたるところが木で出来ているのである。
もちろんアピールだけではなく、産業育成の意図が働いていることは当然だ。「地産地消」を掲げる北海道としても、多いに参考にしなければならない。

(写真は、「やっぱり木はいいなー」と感心する佐々木道議と、小谷道議)

フィンランドの首都、ヘルシンキ着

成田を午前11時45分に出発した私たちは、日付変更線を越えて、コペンハーゲン経由ヘルシンキに到着した。
形にこだわらず、実のある視察にしたい。そのため、服装は先方に失礼にならないことを基本に、可能な限り軽装とした。
ホテルに到着したのは、既に9時過ぎ。明日から、ハードなスケジュールが待っているので、この日は簡単なミーティングで、日程を締めくくることに。しかし明日の夕刻にはストックホルムに出発しなければならない。より効率的な研修を可能とするため、事務局長の私から、団員にヘルシンキの概要について説明をした(次項参照)。

ヘルシンキの概要


ヘルシンキについて。
ヘルシンキを首都にもつフィンランドは、「バルト海の乙女」と呼ばれている。国土の80%が森と湖で占められているこの国は、自然にそうなったのではなく、「こういう国をつろくう」という強い意志と政策によって今日に至ったのである。

ヘルシンキはもともと、ロシア帝国によってサンクトペテルブルグの郊外都市の一部としてつくられた街である。国の南端に位置し、バルト海に面する港町だ。国民500万人のうち、やく10%の50万人が住んでいる。周辺都市圏の人口は、およそ120万人というから、集中度は高い。その分、環境問題や福祉問題など極めて計画的な街づくりが進められることにより、快適な住環境をめざしている。

都市の骨格は20世紀初頭に完成したが、第二次世界大戦後に大胆な復興がおこなわれ、都市県域は拡大した。建物の三分の二は、戦後建設されたものである。都市計画に大きなウェートがおかれている。土地の65%を市が所有し、公共主導の強力な街づくりが推進されてきた。


'ヘルシンキに限らず、北欧は公営交通が市民の足を担っている。環境重視の国や自治体の街づくりの一端を見た。

(ちょっと見にくいだろうか、幅の広い道路に大きなグリーンベルトがあり、そのグリーンベルトの中を路面電車が走っている)


空港では、たくさんのソーラーパネルを見ることが出来る。北欧は、クリーンエネルギーのメッカでもあるのだ。

(写真は、そのひとつ。周囲の建物と違和感なく設置されている)


ヘルシンキには季節は二つしかないと、現地の市民から聞いた。時にはマイナス30度にもなる厳しい冬と、工事ばかりしているそれ以外の季節だと言うのだ。
計画的な都市計画は、着実に進められている。

(なるほど街のあちこちに、大型クレーンが林立していた)

ヘルシンキ市の都市政策。
1992年に、港湾の移転を中心とする新しい基本計画が策定さた。計画は、あくまでも緑地占有率の向上を基本とするものであり、「国づくりの哲学」は、ここでも貫かれている。
交通政策も明確だ。中心部への車乗り入れを徹底して規制している。その手法のひとつに駐車料金制度がある。中心部の駐車料金は極めて高く設定し、郊外に設けられた大型駐車場から、公共輸送機関に乗り換えるというパークアンドライド政策がかなりの成果をあげている。
街の拡大に伴って、必ず大規模なグリーンベルトもつくられていく。網の目のような「緑の回廊」には、独自の自然生態系も形成されるなど、環境政策も見事である。

経済活性化の中心を担うのは、もちろんIT産業をはじめとする産業クラスターの成功だ。明日の視察先である「フィンプロ」など、国としての徹底的なサポートが経済発展の根拠となった。

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