第六日  2001.4.10  ローマ
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視察六日目。Aグループ(鰹谷、岡本、段坂、山口、佐々木、日下)は行程の最終日だ。

世界最小の独立国・バチカン市国



中性に作られた城壁の中に位置しており、人口が約千人程度と、世界最小の国がバチカン市国だ。世界各国に在外公館を持つ、れっきとした独立国である。
1929年にムッソリーニと教皇庁の間で結ばれた「ラテン条約」に基づく同国は、十億人と言われる世界中のカトリック信者の総本山。

五百年前に大修復が行われているが、ローマ市内のコロッセオの大理石がかなり使われたという。世界遺産などという概念のなかった中世には、古代遺跡の保全などという発想はなかったようだ。

ユネスコ条約として順次、世界遺産が登録されているが、そういう意味では人類の歴史を将来に継承しようという本格的時代がようやく始まったのである。

北海道の歴史は極めて浅いが、それでも毎年、希少動植物が次々と絶滅している。
自らも自然の一部である人間が様々な生態系を破壊しているとすれば、大きな問題である。北海道議会では、希少動植物保護条例を制定したが、文化や自然を次世代に引き継ぐ取り組みを、さらに強めていく必要性を痛感した。

バチカン市国は、イタリアの首都ローマ市内に存在していて、二つの世界遺産を持つ。同遺産は、バチカン市国とともに、イタリアにも登録されており、世界遺産制度を定めた条約が、一国だけを想定しているのではなく、人類共通の財産を後生に継承しようという趣旨を具体化させたものと言える。

文化を守るということは、そういうことなのだ。今なお、地球上で民族地域紛争があとを絶たないが、こうした歴史文化に触れることを通じて、改めて人類全体の共生、つまり平和の尊さをかみしめたい。

池本道議がまたいでいるのは、バチカン市国とイタリアの国境だ。

ローマの福祉

予定の高齢者福祉施設サンミケーレ公営老人ホームは、ちょっとしたトラブルのため、訪問を中止した。

この施設は1963年ローマ法王によって設立されたものであり、市営施設として運営されている。入居者は140名で、全員が年金で自活している。
スタッフ70名。家庭内に問題を抱える子どもを一時的に預かる施設でもある。家庭内暴力、アルコール中毒の親からの保護なども行っている。
施設見学には三ヶ月前からの予約が必要であり、是非とも調査したかったのだが、残念ながら予定を変更した。


代わりに訪問したのが、ローマ市内から10キロ程のところにある高齢者施設ローマ・カーサドウェだ。

施設長を待つ間、整備された施設周辺を見るメンバー。

入居者も、以前施設視察にきた人が撮ってくれた写真をもって、和やかに迎えてくれた。

入居者は、飼い犬とともに施設に入れる。以前改築のため、一時的に他の施設に移ったとき、その施設が動物を禁止していた。その期間、入居者と犬の双方が、とても元気が無くなったという。

入居者の朝食は部屋に運ばれるが、昼と夜は、飲み物やおかずなど,選択制になっている。

食堂の雰囲気も、ちょっとしたレストラン風だ。

居室はすべて一人部屋。完全なプライバシーが守られている。

かつて300人の入居者がいたときは、相部屋だったが、快適さを保証するために現在は85名だ。
もちろん、バストイレもついていて、ちょっとしたホテルなみである。

85名の入居者のうち25名は介護を必要とするが、年金の70パーセントという入居費は、全員分がプールされ、その中でケアスタッフがお世話をしている。

さすがカソリックの国。かなり広い礼拝堂もある。

施設長のアスンタさん。

昔は、こういった施設に入ることを恥と考える人もいたが、今では多くの待機者がいるという。

ここは市営だが、官民合わせて、ローマ市内には百を超える同種施設がある。

値段の安い市営は人気があるが、今朝入居した91歳の男性は、実に四年ぶりの新入居者である。

日本も介護保険制度がスタートして一年になるが、課題は多い。長寿をお互いに喜び合える社会を実現したい。

最後の晩餐

今日で、先発隊は帰国する。視察の成果を、これからの議会活動に生かすことを誓って、「最後の晩餐」だ。

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