シエナ(5月25日)
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市民文化で賑わうシエナのカンポ広場

駅庁舎も景観に一役

高層建築物は教会だけ
 この日も引き続き、文化としてのイタリア広場に関する視察を続けた。フィレンツェからタクシーで一時間ほど走ったところにあるシエナという街のカンポ広場が目指す場所だ。
 
広場を中心に行われる地区対抗祭り
 シエナのカンポ広場は、イタリアを代表する広場のひとつと言える。中世に建設されたこの広場は、その当時、建物の形態、壁の色、窓のかたちに至るまで法令で規制されていたという。広場には、それぞれの地区がつながっている。
 毎年パリオと呼ばれる競技会が開催される。聖母マリアを賞賛することに起源をもつこの行事は、現在では地区対抗の行事となり、各種準備や練習のために市民は一年がかりで取りかかっている。
 市民生活の一部となっている祭りは、地域住民の連帯感を高めている。その舞台を提供するのが、なくてはならないカンポ広場なのである。我々が訪れた日も、おそらくパリオの練習をしていたのだろう。旗を振り、太鼓を叩き、酒を飲み、歌をうたい、パレードをする。そんな光景を見ていて、ふと、三十年前の東京新宿西口広場のことを思い出した。 70年安保改定を前にした東京はあちこちで騒然としていた。そのひとつ、新宿の西口広場では、毎週土曜日の夜になると、都内の若者達が集まりフォーク集会を開いていた。歌う者、話す者、飲む者、まさに、東京に新しい文化が生まれるのではないかと思われる光景であった。
 東京都は、これを規制するためになんと、その場所を「広場」から「通路」へと位置づけ変更し、道交法に基づいて、市民を排除したのである。
 文化振興は、市民の自発的エネルギーを行政がいかにサポートしていくかにかかっている。9年前に、学生の手によって始まった「よさこいソーラン祭り」は、いま北海道の文化として根付きつつある。札幌中心街のステージで行われていた当初の開催形態はその後変更され、4年前からはいくつかの「広場」での同時開催となった。シエナ市民の手による、開放的なそして地域に根ざした文化としての祭りを、是非、北海道においても参考にしたいものである。 
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