フィレンツェ(5月26日)
欧州視察目次に戻る  前日(5/25)へ


視察も最終日、疲れを癒して「最後の晩餐」


窓の下のヨーロッパ。たくさんのことを経験し、学び、考えさせられた旅だった
 最後の訪問地フィレンツェである。一行は体調を壊す者もなく、またスリに会うこともなく、無事、視察を終えようとしている。
 
イタリア文化と市民生活
 フィレンツェは、ルネッサンスが開花した街として有名だ。レオナルドダビンチの最後の晩餐をはじめ、数々の芸術作品が残されている。あたりまえだが、ぜーんぶ本物だ。それだけではない。都市そのものが、中世からルネッサンスへの歴史的変遷をしっかりと残している「博物館のような街」といえる。世界中の人々が一度は訪れたいと思う街だろう。
 しかし、スイスの場合に見られた「観光産業を支えるために、環境保全に行政や市民が力を入れる」という姿勢は見られない。例えばフィレンツェには、月に二日間、自家用車を規制する日が決められている。その日だけは、排ガス規制をクリアーしていない車を運転してはいけないということだ。裏返せば、それ以外の日は、まったくノー規制という話であった(96年当時のことなので、今のことは定かではない)。
 イタリアでは、政治や政治家に対する市民の信頼に大きな問題があるようだ。そのため、公共心よりは、自分たちの生活を守る方に、より重大な関心が寄せられている。自宅の中はピカピカになっているのに、高級ホテルのフロントマネージャーが、白昼堂々と、自分のホテルの正面玄関先にタバコの投げ捨てをする光景は、奇異な感じさえあった。
 「人類の財産」ともいえる歴史的建造物や芸術作品をもつ都市と、そこに住む市民の意識、あるいは泥棒が闊歩する社会状況。その背後にある政治と市民の信頼関係の希薄さ。いろいろな意味で学ぶことの多い街であった。
欧州視察目次に戻る  前日(5/25)へ