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現地視察2日目。私たちは環境負荷を従来都市の半分にすることを目指すハンマビー地区を訪れた。
調査項目は次の各点
@環境都市づくりプロジェクトの概要聴取
A計画期間において明らかとなった課題と問題点聴取
B市民意識の実態聴取 |
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今では、「ハンマビーモデル」と呼ばれ、世界中が注目するこの地域も、14年前は産業用地であり、土壌汚染などもあったという。現在は、スポーツホール、レストラン、図書館等も整備されており、運河では釣りもできる(サケ)。また、その魚は汚染されてないので、食べることもできる。30キロ級の魚もつれるそうだ。冬には、運河でスケートができる。
使い終わった産業用地で汚染や廃墟でたくさんの課題を抱えていた当地区を、スウェーデンは見事に蘇らせたのである。
アメリカの調査期間によれば、世界の人々は、現在半分が都会に住んでいる。2030年には60%が都会に住むと言われている。街中、郊外に街が拡大するため、ゴミの処理どうするか、交通はどうするのかなど課題が今後山積するというのだ。
ハンマビー地区をプランニングした人は、新しい発想をした。スウェーデンが名付けたシンビオシティ。だいたい、計画というものは一つ一つプランニングしているが、シンビオシティは並行して総合的に進めているのが特徴である。また、行政と住民が一緒に都市計画を立てるようにし、都市計画を立てる以前に、みんなで議論をしたことも、世界に冠たる環境都市ハンマビーを成功させた要因なのだろう。 |
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ストックホルムは、2004年にオリンピックを誘致するつもりだったが、アテネに負けてしまった。しかし、オリンピックを誘致することと同時に、環境都市をつくるアイディアも実はあったのだ。それは、シドニーがオリンピック誘致に成功したのは、環境の要素が多かったためだと言われていたからである。
一番のターゲットは環境への悪影響を半分に減らすことだった。それは逆に言うと、環境を2倍良くするものでもある。市の上水道や下水道等、市の関係者が議論し、都市計画を作る前にディスカッションが頻繁に行われた。土地の利用、汚染された土壌、エネルギー、飲料水、汚水、ゴミ、建材をどういうものにするか、交通機関、グリーン地域などについてでもある。
まさに街をグランドデザインしたと言っていい。 |
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面積は、204ha、建設コストは4.5ビリオンユーロ。ところが、ストックホルム市が出すお金は、わずか0.2ビリオン。他は民間ゼネコンが負担した。国からも予算がついたが、わずかであった。土地はストックホルム市のものであった。
土地は、30のゼネコンが市から買いとった。ゼネコンがつくる建物については、強調した建物、デザイン、色合い、建材をどういったものを使うか等、行政としっかり話し合って行われる。だが、それぞれのゼネコンの考えるデザインは千差万別であり、なかなか調和できないという課題もあり、その解決策として、色で調和をとることで調節をした。建物の高さは、だいたい5階から8階、市が建物の高さを決めており、おおむね19Mである。
街全体では、1万人の雇用を創出することも計画。自転車道路や、公共交通機関のトラム(路面電車)も整備した。しかし、まだ街中まではつながってないため、将来的には街中までつなげるようにする計画だという。つまり街は進化を続けているわけだ。 |
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運輸部門における対策としてカーシェアリング(ハンマビーではカープールと呼んでいる)が世界で注目されている。ここでは、プライベートのみで、550家族が加盟をしており、35台の車でカーシェアリングしている。予約方法はインターネット、鍵は、携帯モバイルで開けられるようにしているようだから、なかなか使い勝手も良さそうだ。
現在、通勤通学の79%の人が、公共機関、自転車、歩きとなっている。街中の車利用率は、昔と比べると40%減少した。たぶん、トラムが完成したことの要因が大きい。以前イギリスのBBCがハンマビーモデルを取材しにきた際、イギリスの環境地域の例も聞いたが、そこは公共機関をつくらなかったため、車がものすごく混雑していると、言われたそうである。
ハンマビー地区開発にはゼネコンが大いに協力している。配管を行う場合、銅菅は禁止、スチールかプラスティックのみの使用が許される。スウェーデンの住宅は、家具、家電用品は全て揃っているものがほとんどである。ゼネコンが家電を備え付けるときには、すべてAクラス用品。トイレは水量が少ないものにし、建材もリサイクルがきくものにした。建築コストは高くなると予想されたが、実際は2〜4%ぐらいしか高くなっていなかったという。しかも、たとえばゼネコンがアパートを売ったときに、投資した分、ゼネコンに返ってくるという利点もある。典型的な環境ビジネスと言える。
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ハンマビーモデルは、エネルギー供給所、浄水所、下水道、熱供給所など、全て市でやっている。ゴミや汚水は全て再利用され重要なエネルギー源となっていて、70%が地域暖房に加盟している。ゴミは95%再利用し、コジェネシステムにより、かなりのエネルギー効率をあげているようだ。
汚水処理後の水は、18度も温度があるため、熱処理をして、地域暖房に使用。熱処理されて冷却された水については、冷却システムに使う。個人宅には、冷却システムはないが企業、会社にはある。ソーラーセラーは黒い窓ガラス。ソーラーパネルも設置している。50%のソーラーパネルの熱水は、暖房に利用。冷房は会社のみで、家庭では扇風機を使用しているらしい。
車のエネルギーとしては、2050年までにエタノールかバイオガスにすることが決まっている。
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ゴミは、有機ゴミ、燃えるごみ、新聞紙などに分別した上で、専用ボックスに投棄する。投棄されたゴはすべてコンテナに入り、時間によって時速70キロでバキュームされる。車の時速は30キロだが、ゴミは70キロというスウェーデンジョークもあるようだ。ゴミ箱は150カ所に設置されている。バキュームシステムにより、収集車を使わない分、CO2排出が抑制されている。ペットボトルなどは、お店に持っていけばお金に換えてくれるデポジット制度も徹底されている。。
「分別の意識は、市民を洗脳することだ」と笑いながら説明してくれた。ゴミを投棄するパイプは、ENVACというスウェーデンの会社でつくった。直径40センチメートル、ステンレス管。ここにも環境新ビジネスを見ることができた。瓶などについては、ゴミ収集車でいまも回収しているが、量は激減している。 |
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スウェーデンは200リットルの水を一人当たり使用しており、それをハンマビー地区では100リットルにすることを目標にしている。トイレの水量、食洗機、水道の中に空気をいれること等により、水量を下げている。現在、150リットルjまでにはなったようだ。
またハンマビーは、グリーンエリアを多くつくっているのも特徴の一つである。緑を極力多くするよう、計画し整備している。ハンマビー地区からの橋についても、道路脇等に、緑を併設しているため、騒音があっても、緑が多いので車が隠れる。野生のエルグ(へらじか)もたまに出没しているというから素晴らしい。
ハンマビーモデルには、どういう人が住んでいるのか?分譲住宅が55%、賃貸住宅が45%となっている。当初は、生産コストが高いため、ターゲットは郊外の一軒家を持つ、子育てが終わり大きい家がいらなくなった人に販売しようと考えていたが、実際は25歳から45歳くらいの、中産階級以上の人が多く居住している。賃貸費、管理費は街中とほぼ一緒の金額であるが、ハンマビーには、なぜか病院はない。一階はお店にすることが条件。 |
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現在、30のゼネコンが入っているが、住宅建設にあたっては75%が環境に配慮したものとなっている。
また、市民が面倒がらないように、積極的に環境教育も実施しており、環境センターには、年間13000人が訪問してくる。
1990年対比、今日30〜40%を環境に配慮できている。ハンマビーは国内外でも有名になってきており、中国では数ヵ所の地域が、このハンマビーモデルシステムを真似してまちづくりを進めている。
ストックホルムは、2010年のグリーンキャピタル(環境首都)に選ばれた。その要因は、渋滞税の導入とハンマビーの効果だと言われている。現在、ハンマビーに住むことがステイタスになっているのか?の問いに、なっていると力強く応えてくれた。 |
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行政、企業、市民、三者が一体となって都市作りプロジェクトを進めている実態をはっきりと理解することができた。押しつけではなく、協同が大事なのだ。また企業にしてみれば採算を度外視してプロジェクトに参加するわけにもいかない。そこに新たなビジネスチャンスが準備されていることも見過ごせない。
3万人規模の都市づくりであり、そこにはスケールメリットも存在するのだろう。様々な工夫を凝らすことで、もう少し小さな規模で北海道版ハンマビーモデルを検討することが、必要だろう。「北海道ハンマビー研究会」などを設立し、市民、企業、行政が知恵を出し合うことも検討したい。
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