〔北方型建築工法について〕
本年四月、衆議院において、住宅金融公庫法が改正された際、わが国における外断熱工法の積極的採用に関する付帯決議が採択された。
1973年の第一次オイルショックを契機として、コンクリート建築物の断熱工法は、内断熱から外断熱に転換することが世界の潮流となった。
こうした世界の動きに遅れること三十年、全国で百万棟と言われるコンクリート建築物を有するわが国においても、ようやく外断熱の方向が示されたのが、今申し上げた付帯決議である。
他方、外断熱工法に今なお消極的な意見が、一部存在していることを私も承知している。現在のところ、内断熱がスタンダードとなっているわが国で両者を比較すれば、材料費などコスト高になる面が発生することも、短期的にはやむを得ない点もある。しかしそれとて、外断熱が工法の基準になれば、事態は逆転するのである。
また、外断熱工法は、コンクリート建物を全体として断熱材で包み込むため、デザイン処理において採用が困難な場面も時にはあるかもしれない。だがこの問題も、レアケースであるとはいえ、技術的にクリアーできる課題にすぎない。
そこで伺う。
コンクリート建築物における、内断熱と外断熱の相違について、知事はどのような基本認識をお持ちか。
外断熱の優位性が世界で認められている中、わが国においては積極的な導入が図られなかったことについて、いかなる所見をお持ちか、併せて問う。
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知事答弁
○外断熱工法は、建物の外側を断熱材で覆う工法であり、内断熱工法に比べて、コスト面などの課題があるものの
耐久性に優れ、省資源化に効果があるとともに、
結露やカビが発生しにくく、
また、省エネルギー性に優れていると認識している。
○これまで外断熱工法の普及が図られなかった大きな要因としては、
平成12年の建築基準法の改正以前において、
その規定を満たすには、多額の費用と期間を要したためと
受け止めている。 |
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次に、積雪寒冷地・北海道としての取り組みについて伺う。 外断熱工法の開発と導入は、本道と類似する気象条件にある北ヨーロッパ及びドイツに始まったと聞いている。現在では、それらの地域における新築のコンクリート建築物の99パーセントは、外断熱で建てられている。 そればかりかドイツにおいては、旧建築物を解体し、新築する場合には、法的規制が講じられているようだ。つまり、内断熱建築物を外断熱建築物に改築するのにかかる費用が、新築に要する費用の60パーセント以内であれば、解体してはいけないというものである。 建築廃棄物の縮減、3倍から4倍と言われている建造物の寿命、結露によるカビ・ダニに起因する各種健康被害からの解放などを考えれば、極めて賢明な措置として評価できる。
私が調べたところでは、わが国の取り組みが遅れてきた原因のひとつが、「防火上の課題」を理由とした当時の建設省建築指導課長通達であった。驚くべきことだ。
伺う。
冬期間、外気と室内の寒暖差が他府県とは比較にならない北海道は、外断熱工法の優位性が顕著に現れる地域である。 国における取り組みが諸般の事情で遅れていたとしても、本道における独自の検討がなされてきて当然と考える。
道としての、外断熱に関するこれまでの研究・開発、及び導入実績はどうなっているのか。現段階の実態と併せて伺う。
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建設部長答弁
○北方建築総合研究所において、北国にふさわしい快適で
耐久性に優れた建物を研究課題として、
昭和52年から取り組んできた。
その結果、耐久性が高く、低廉で施工性に優れた工法を
開発しており、各種講習会や普及資料などにより
建築技術者や道民の方々に対し情報提供を実施してきた。
○道立施設における取組事例として、
「帯広大空団地」の道営住宅をはじめ、
「北方四島交流センター」や
「北方建築総合研究所」などて゜実施したほか、
今年度から改築を行う「羽幌病院」についても、
外断熱工法による設計とするなど、
道として着実に取り組みを進めている。 |
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この問題の最後に、今後の取り組みについて聞きたい。
過去の反省にたち、積雪寒冷地・北海道として今後、積極的に外断熱工法を定着させるためにも、「居住者の健康」「建築物の耐久性」「地球温暖化への影響」などを明記した、公共施設における導入の考え方を示していただくとともに、民間レベルにおいても外断熱工法が積極的に取り入れられるような基準を定めるべきと考えるが、見解を伺う。 |
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知事答弁
○外断熱工法は、
建物の断熱性能や耐久性の向上などに優れている反面、
現段階では建設コストが割高になるという課題を持ち合わせている。
今後の道立施設の整備にあたっては、
使用目的や立地条件などに加え、
ライフサイクルコストの観点も含め検討するとともに、
引き続き、北海道にふさわしい経済的、効率的な工法の
研究・開発の推進に努める。
○また、道としては、民間事業者に対し、
北方建築総合研究所による研究成果などの最新情報の提供や、
企業などの技術開発への参画を進めるとともに、
産学官の連携を図りながら、
外断熱工法の技術マニュアルの作成に取り組むなどして、
外断熱工法の普及に努めていく。 |
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2003年本会議一般質問 |