幌延計画を国に返上させた質問 HOSHINOTAKASHI



質問
 幌延問題についてお伺いをいたします。
 多くの前置きはもう必要ないと思いますけれども、十数年にわたって国と道の間で遅々として進まなかった幌延計画、いわゆる国の幌延計画が、ことし二月二十六日の科学技術庁の新しい提案によって、この半年間いろいろな動きを見せてまいりました。それ以降、十月の十二日でありますけれども、動燃にかわって発足をいたしました核燃料サイクル開発機構から具体的な申し入れがあったわけでありますが、一連の流れの中におけるこの申し入れの位置づけについてまずお伺いをいたします。



答弁(近藤光雄資源エネルギー課長)
 核燃料サイクル開発機構からの申し入れについてでありますが、このたびの申し入れは、本年二月の国から道への申し入れを踏まえ、事業主体として深地層の研究について申し入れたものであると考えております。



質問
 この申し入れの後に記者会見が行われたというように承知をしておりますけれども、だれがどこで行ったものなのか、お伺いをします。



答弁(近藤資源エネルギー課長)
 記者会見についてでありますが、この会見は、核燃料サイクル開発機構の都甲理事長を初めとする役職職員の方々が道庁の記者会見室で行ったものであります。



質問
 私の手元に記者会見の内容について記録されたものがございます。このメモはだれがつくったものであるのかをお聞きするとともに、核燃料サイクル開発機構もその内容について認めているのかどうなのか、お伺いをいたします。



答弁(近藤資源エネルギー課長)
 記者会見の内容についてでありますが、道が参考までに作成した記録があり、核燃料サイクル開発機構では、その記録の内容はおおむねそのとおりであるとしております。



質問
 かなり詳細な記録なのですが、今の課長のお話ではおおむねそのとおりであるということですけれども、大切なところですので、もう一度正確にお答えいただきたいと思います。



答弁(山口経済部長)
 つくった経過は先ほど申し上げました。これに対しまして、核燃料サイクル開発機構に一応確認をしてまいりました。趣旨として間違っておりませんし、そのとおりであるという回答をいただいております。
 以上でございます。



質問
 八ページにわたるメモですけれども、おおむねではなくて、そのとおりであるというように核燃料サイクル開発機構も認めているということだと部長からお話をいただきました。
 ということは、このメモに記されている記者会見は今回の申し入れを補足するものであり、その内容において、申し入れと記者会見を一体のものとして理解をしてよろしいのかどうか、お伺いをいたします。



答弁(近藤資源エネルギー課長)
 記者会見についてでありますが、記者会見は、このたびの申し入れに関連して、核燃料サイクル開発機構としての考え方を示したものであると承知しております。



質問
 今、記者会見と申し入れは一体のものというお答えをいただいたものですから、次に入りますけれども、核燃料サイクル開発機構は、申し入れ及び記者会見の中で、深地層研究所への放射性廃棄物持ち込み問題、さらには中間貯蔵施設立地問題についてどのように触れているのか、お伺いをいたします。



答弁(近藤資源エネルギー課長)
 記者会見などについてでありますが、道への申し入れでは、「深地層の研究を行う施設には、放射性廃棄物を持ち込むことはしません。」としており、また、記者会見において都甲理事長が、中間貯蔵施設は幌延に立地しない旨発言したと承知しております。



質問
 先ほど記者会見と申し出が一体のものであるというところにこだわった理由がここにあったわけでありますけれども、申し出の中では、深地層研究所へは核廃棄物は持ち込まないとしている。そして、記者会見においては、中間貯蔵施設についても幌延に立地をしないと明言をされたわけであります。中間貯蔵施設を幌延に立地しないということを明言したのは、国、動燃、今回発足をした核燃料サイクル開発機構、それらすべてを通じてまさに初めてでありまして、この記者会見場に同席をした報道各社の皆さんも、かなり驚きを持って受けとめた方もいらっしゃったというように聞いているわけであります。
 しかし、その後、記者会見の後に、理事長の発言を訂正する文書が出されております。これは、いつ、だれから出され、どんなことが記されているのか、お伺いをいたします。



答弁(近藤資源エネルギー課長)
 訂正文書についてでありますが、核燃料サイクル開発機構によりますと、この文書は、十月十二日の記者会見の終了後間もなく、都甲理事長の了解を得て広報部の職員が道政記者クラブに配付したものであり、その内容につきましては、「理事長が、中間貯蔵施設は幌延に立地しない旨の発言がありましたが、深地層研究所に廃キ物(ガラス固化体)を持ちこまないことと混合した発言であり、中間貯蔵施設の立地については、廃棄物政策上、その必要性に変わりないことから、さらに理解を得るための努力を進めつつ全国的な見地という考え方を十分に踏えて取り組むとしており、地域を特定した検討は行っていないと訂正させていただきます。」とされております。



質問
 この文書は、既に解体をされた動燃のけい紙に、しかも、お世辞にもきれいとは言えないなぐり書きで書かれたものでありますけれども、これは核燃料サイクル開発機構の公文書と言えるものなのでしょうか。道としては確認をしたのかどうか、お伺いをいたします。



答弁(近藤資源エネルギー課長)
 訂正文書についてでありますが、核燃料サイクル開発機構は、道政記者クラブに配付した文書につきましては公式なものであるとしております。



質問
 公文書ということであります。記者会見後の公文書なるものが記者会見のまさに一時間後に出されたということは、都甲理事長の行った記者会見が訂正をされたというように理解してよろしいのでしょうか。



答弁(近藤資源エネルギー課長)
 会見内容の訂正についてでございますが、核燃料サイクル開発機構が道政記者クラブに配付した文書では、理事長の発言は訂正したとしております。



質問
 理事長の専門分野についてお伺いをしますけれども、今のやりとりで明らかになりましたが、記者会見の後で発言が否定をされた理事長というのは、東大工学部の原子力分野の教授を約二十年務めた後、原子力安全委員会の委員、そして委員長を経て、ことし七月に動燃事業団の理事長に就任をし、十月一日から新法人である核燃料サイクル開発機構の理事長になったと承知をしております。
 こうした経歴からしても、理事長は、みずからの専門分野について自分の発言が訂正されたことに抗議をしてもいいのではないかというふうに私は思っているぐらいでありますが、この理事長は、先ほど申し上げた経歴などを含めて、原子力関係では専門家と理解をしてよろしいのかどうか、お伺いをいたします。



答弁(近藤資源エネルギー課長)
 理事長についてでございますが、理事長は原子力安全委員会の委員あるいは委員長を歴任されておりますので、原子力分野の専門家であろう、そのように承知をしております。



質問
 そうなのです。この都甲理事長というのは非常に見識を持った方だと私は思っています。そうした都甲理事長のような専門の方が、深地層研究所に放射性廃棄物を持ち込まないということと中間貯蔵施設を立地するという問題を混合するような人とは到底私は思えないのでありますけれども、いかがでしょうか。



答弁(山口経済部長)
 私としては、理事長は、先ほど委員からお話のありました経歴をお持ちでございますので、原子力行政に十分な識見、見識をお持ちの方だろうというふうに考えております。



質問
 なかなかお答えづらいと思うのですが、ということは、間違ったのではないのだと私は思います。ある意図が介在をしたというふうにしか私は思えません。
 さて、今回、核燃料サイクル開発機構が記者会見において、一たん、中間貯蔵施設を北海道幌延には立地しないと明言したにもかかわらず、わざわざ公文書で取り消したということは、提案された深地層研究所は中間貯蔵施設の先行立地である、このように考えるのが自然だと思いますけれども、どうでしょうか。



答弁(山口経済部長)
 そのような受けとめにつながるものと考えております。
 以上でございます。



質問
 大変なことがだんだん明らかになってきたわけであります。動燃から核燃料サイクル開発機構というように名前が変わっても、貯蔵工学センター計画を取りやめたというわけでありますが、将来、放射性廃棄物を持ち込みたい、あるいは中間貯蔵施設にしたい、こうした本音が浮き上がっていると私は考えております。動燃と体質は全く変わっていない機構からの今回の申し入れへの対応は、幌延町に放射性廃棄物を持ち込むことについての大きな疑念を抱かせるものと思うわけであります。
 そこで、ちょっと失礼します。先ほど理事会で持ち込みを許可いただきましたので……。
 これは、先ほどお話がありました記者会見の一時間後に報道各社に配付されたものを、けさ、そのまま拡大コピーしてきたものであります。先ほど照会をしたところ、サイクル開発機構では公文書であると言われたものが、これが実物、大きさは違いますけれども、コピーしたものであります。文書番号ももちろん入っていません。あて先も書いてありません。「核燃料サイクル機構」というようになっておりますけれども、これは正式には核燃料サイクル開発機構でありまして、そのフルネームさえまだ世の中で市民権を得ていないというか、余り知られていないのに、通称を使ってもこれはどこだかわからない。あるいは氏名さえ書いていない。印も押していない。
 しかも、先ほど申し上げましたように、この便せんは解体されたはずの動燃の便せんなのです。申し入れ団に同行してきた広報部の職員がわざわざかばんの中に動燃の便せんを持っていたというのも、本当にこれは何も変わっていないのだなということを示しているものだと思います。誤字もあります。誤字というか、略字が非常に不適切だというふうに思います。さらに、初めのうちは行に沿って書いていたのですけれども、だんだん行を無視して、かなり焦って書いているわけであります。
 これは何を意味しているかというと、当日の記者会見で都甲理事長が中間貯蔵を行わないと明言したことが、これは私の推測ですからお答えは要りませんけれども、当日の夕刊に載ってしまったら既成事実として大変なことになってしまうというように、かなり焦った開発機構の職員部隊がこれを急遽取りまとめて配付したものだというふうに思うわけであります。
 かつて動燃は、事故を繰り返して、その事実を隠ぺいしてまいりました。まさに黒を白と言いくるめてきたわけでありますけれども、こういうメモを公文書と言いくるめる開発機構の体質というものは動燃をあるいは上回るものであり、これは、道に対して、道民に対して、議会に対して、ばかにする、愚弄する行為であるというように私は思っております。もはやぬぐい去れない不信感を私どもは持ったわけであります。この際、道においては今回の申し入れを返上すべきと考えますが、いかがでしょうか。



答弁(山口経済部長)
 核燃料サイクル開発機構の記者会見などの一連の対応につきましてはまことに遺憾でありまして、道としては、このたびの申し入れの扱いについて、御指摘の点を念頭に置き対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。



質問
 これまでの議論の中から、幌延に中間貯蔵施設が立地されるという可能性が出てきたわけであります。かつてのいわゆる幌延計画、幌延貯蔵工学センター計画では、深地層研究と中間貯蔵が二つの大きな柱となっていたわけであります。ことし二月二十六日の時点では、この計画を白紙に戻し、新たに深地層試験の提案がなされたということになっているわけであります。
 しかし、今回の一連の経過の中で、時間差こそあれ、新提案は中間貯蔵施設につながる先行立地であることが明らかとなりました。これは、これまで国が進めてき、しかし、道民、議会、行政の反対に遭い、遅々として進まなかった幌延計画そのものであり、幌延計画が復活したというふうに私は考えているところであります。したがいまして、今回の申し出の返上にとどまることなく、国との関係を本年二月二十六日以前の状態に戻すべきであると考えますけれども、いかがでしょうか。



答弁(山口経済部長)
 このたび申し入れのありました北海道幌延町における深地層試験につきましては、貯蔵工学センター計画を白紙に戻した上での事業主体としての深地層研究についての申し入れであると考えておりますが、二月二十六日の国からの申し入れの扱いにつきましては、御指摘の趣旨を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
(平成10年第3回予算特別委員会第2分科会10月15日)

HOSHINOTAKASHI