質問
公共施設におけるコジェネの導入について伺います。
コジェネとは、自家発電をしながら、そこからあわせて取り出せる熱エネルギーを活用して冷暖房や融雪を行うシステムのことです。
石油の埋蔵量に限界があることから、かつて原子力発電が夢のエネルギーとして登場いたしました。鉄腕アトムの大ファンだった私もそう信じていましたが、その後、三つの理由から、原子力も過渡期のエネルギーにすぎないことが定説となりつつあります。
一つ目は事故の危険性、二つ目は日常的に放出される微量放射能の人体への影響、そして三つ目は高レベル放射性廃棄物の処理技術が未確立だということであります。いっときも早い脱原発社会の到来と、それにかわる環境に優しいクリーンエネルギーの開発が期待をされているところであります。
しかし、現実には、次世代エネルギーが開発されていない状況の中で、限りある資源をいかに効率的に使用するか、つまり、省エネの発想を徹底することが求められています。
国も、七九年に制定をした省エネルギー法を九三年には改正するとともに、省エネ・リサイクル支援法を制定し、規制と支援の両面から省エネの達成を目指しています。こうした背景を持ちながら、電気とともに熱も同時に供給できる、こんなコジェネが急速に普及をしてきたわけであります。
質問の第一は、コジェネについての基本的認識についてであります。
これまでの発電所は、火力であれ、原子力であれ、その施設は需要地から遠く離れた場所に設置をされていました。したがって、発電をするときに同時に生ずる莫大な熱は海に捨てられてきたのです。また、送電ロスもかなりのものでした。この結果、投入エネルギーの電力変換率は三〇%から四〇%にすぎないのであります。これに比べてコジェネは、投入をした一次エネルギーの七〇%から九〇%を効率よく取り出すことが可能です。もちろん、需要地で発電するために送電ロスはありません。
そこでお伺いをいたします。
道内の普及率がこの十年間で約三十倍となったコジェネについて、知事は基本的にどのような見解をお持ちでしょうか。また、道内のコジェネ導入実態についていかなる評価をされておられるか、お聞かせください。
質問の第二は、道の施設に対するコジェネ導入についてであります。
最近、研究者の間で注目をされているのがコジェネによる融雪システムです。実証データとしては、投入した一次エネルギーのうち、約四〇%を電気として、そして約三五%の高温廃熱を冷暖房用として、そして残りの約二五%の低温廃熱を融雪用に活用することが可能だということであります。
雪が降ると、集めて、運んで、捨てる、そのために莫大な除雪予算が使われている本道にとって、コジェネは積極的導入に値すると考えます。
また、設置が進められている流雪溝も、水流と熱源という条件でその施設区域が制約されているわけですが、コジェネとセットなら、そんな制限も取り払われることになります。
そこでお伺いいたします。
道の公共施設、例えば、病院、文化・スポーツ施設、支庁関連施設、道営住宅などに対するコジェネ導入の可能性について調査検討すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
現在、議会庁舎を含む本庁舎及び北海道警察本部ビルの電気は北海道電力から、そして冷暖房用としての熱エネルギーは北海道熱供給公社から供給を受けています。
国の省エネルギー政策を推進する立場にある道、公益企業である北海道電力、道の出資団体である熱供給公社など、それぞれが情報と資金を出し合ってコジェネの事業主体を設立することも一案です。
本庁舎、別館、議会、かでる、道警を網羅したコジェネシステムをつくり上げることができるならば、道庁周辺には冬でも快適な生活空間を出現させることが可能となります。
省エネルギーと克雪、北方都市のモデルとして、まさに北海道が世界から注目されることになるでしょう。
策定中のローカルエネルギービジョンにぜひともこうした構想を組み入れられることを最後に強く御提言をいたします。
以上で私の質問を終わりますが、今後、予算特別委員会などを通じてさらに議論を深化させることをあえて付言申し上げ、終わらせていただきます。
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