地球温暖化防止条例プロジェクトの足跡 2007/6〜2088/6 HOSHINOTAKASHI

環境生活委員会での質疑………
条例案に対して、道経連が難色を示すなど、いくつかの
動きが出てきました。議会として積み上げてきた経過を
振り返るため、当時、各党とおこなった、およそ2時間に及ぶ
質疑内容を全文掲載します。
(2008/12/8)


質問をする左から
自民党の東議員
公明党の包国議員
共産党の真下議員。

提案されている条例というのは、まさに時宜を得たものであって、環境サミット記念条例といっても言い過ぎではないくらいのマッチした条例なわけであります。(東議員)

総理の素早い決断によりまして、7月7日をクールアースデイと定めていただきまして、本条例にも北海道クールアースデイの宣言が盛り込まれるということで非常に感謝しております。(包国議員)

北海道が地球温暖化防止対策条例を制定することは非常に意義があると考えますとともに、提案された民主党・道民連合には敬意を表したいと思います。(真下議員)

質問に答える提案者チーム。左から、広田まゆみ議員、高橋亨議員、私、日下太郎議員。なお、蝦名清悦議員もメンバーだが、環境生活委員のため、この日は質問席に。

平成 20 年第9回環境生活委員会会議録
平成20年6月19日(木曜日)於/第3委員会室

出席委員

委員長 織田 展嘉 (フロンティア)
副委員長 中司 哲雄 (自民)
委員 小林 郁子 (民主)
委員 東 国幹 (自民)
委員 勝部 賢志 (民主)
委員 池本 柳次 (民主)
委員 蝦名 清悦 (民主)
委員 本間 勲 (自民)
委員 三津 丈夫 (民主)
委員 釣部 勲 (自民)
委員 神戸 典臣 (自民)
委員外議員 包國 嘉介 (公明)
委員外議員 真下 紀子 (共産)

出席説明員

環境生活部長 高井 修
環境生活部次長 岡田 一憲
環境局長 村井 公裕
環境局次長 原口 忍
生活局長 佐保 末男
生活局次長 中西 猛雄
総務課長 平戸 繁
環境政策課長 岩間 久哉
環境政策課惨事 木場 保洋

議会事務局職員出席者

政策調査課長 瀬賀 亨
政策調査課主幹 佐藤 豊
政策調査課主査 鷲頭 宏樹
議事課主査 佐渡 桂市


                            午後 2 時 14 分開議

自民党委員との質疑

○星野議員 今日は臨時の委員会を開催いただきまして、ありがとうございます。 
それでは今、委員長からお話がありましたとおり、昨日の本会議で提出をさせていただきました会議案の「北海道地球温暖化防止対策条例案」につきまして、趣旨の説明をさせていただきたいと思います。
 趣旨の中身につきましては、きのうの本会議場で詳しく御説明をさせていただきましたので、略させていただきますが、この条例は、国の温対法・省エネ法、あるいはそれに基づく道のさまざまな計画など、現行のあるシステムの中で、それらを補完をしながら、あるいは相互に効果をあげながら北海道地域の温暖化対策を進めていこうと、このようなことを目的としております。
 第一義的な目的は当然でありますけれども、北海道の地球温暖化を防止する、究極的な目的として、そうした一義的な目的を通じて、人類の福祉に寄与していきたい。このようなことで、策定をさせていただきました。
 また昨日申し上げました提案趣旨説明は、この条例の立法精神そのものを明らかにするものとして位置づけさせていただきましたので、一体のものとして御理解いただきたいと思います。以上です。

○織田委員長 質疑を行う旨告げ、東委員を指名。

○東委員それでは、きのう「地球温暖化防止対策条例」に対する提案がされましたので、それに対して質疑をさせていただきます。
 まず中身の部分からなのですけれども、総則についてですが、目的の中にあるように「現在及び将来の道民の健康で文化的な生活の確保と、人類の福祉への寄与」、先ほど説明の中にもありましたけれども、この文言なのですが、これは平成10年に施行された「地球温暖化対策の推進に関する法律」とほぼ同様の表現となっております。この目的となった理由と経緯についてお伺いしたいと思います。

○星野議員 ただいま御質問いただきました、この条例の目的と省エネ法なり温対法の目的、引用している部分もあるわけでありまして、それはどうしてなのか、という御質問であると思います。
 先ほども少し申し上げましたが、この条例はまず、いろいろな対策を施すことによって、温暖化を防止する。その温暖化を防止するというのは、そのことが事後目的ではなくて、最終的には人類の福祉そのものに寄与していくとなっております。
それは省エネルギー法においても、あるいは温暖化防止法においても、究極な目的は同じところを目指していると思います。
 ただ、私たちが提案をいたしました条例の取り組み方とか、あるいは進め方などについては、法律とはそれぞれ役割が違いますので、もちろん中身が違います。
しかし目指すところは同じということから、この法律の目的について一部引用させていただきました。法の趣旨を具現化する条例といたしまして、同じ文脈であることに私は違和感を持っておりません。
なお、北海道の条例でありますから、その目的の中に地球温暖化の防止が特色ある優れた自然及び風土を守り本道の持つ魅力の向上につながるという表現なども北海道の地域特性を生かして、入れさせていただきました。
次に経緯でありますけれども、昨年の6月にこの条例づくりの作業をスタートさせていただいて以来、道民アンケートを実施したり、先進地を視察したり、あるいは北海道環境財団の辻井理事長からアドバイスをいただいたり、さらにまた、北大公共政策大学院の吉田教授からサジェッションをいただくなど、さまざまな有識者の方から御意見などをいただてきたわけです。
 そうしたものを総合的に検討した結果、今回の目的にいたったものであります。

○東委員 「人類の福祉への寄与」、究極的にいろいろなメリットもあるのでしょうし、貢献の種類もあるのでしょうし、その中で、人類の福祉への寄与に抽出されたということなのですけれども、もちろん間違いではないと思うのです。
 しかし、この間違いではないけれども、それがすべてではないと私は思うのですね。
 地球は哲学もあれば、感覚もあるのでしょうけれども、地球は人類だけのものではないのは言うまでもありません。かけがえのない自然であるとか、何万、何十万のすべての生物を含めて、地球の生命全体に寄与する、そういった崇高な目的の方が、広く道民の方々にもしっくりくるのではないか、そのような感想を持っておりますけれども見解をお伺いいたします。

○星野議員 御指摘のとおり、この地球というものは私たち人間だけのものではありません。すべての生物の共有財産でありまして、御指摘の点は、まったく同感であります。 
きのうや先ほど申し上げましたとおり、趣旨説明の中でも申し上げましたが、この美しい星地球は、人間のものだけではありません、という認識を示させていただきました。
ただ温暖化は、いろいろな理由によって地球の温室効果ガス濃度が上がってきているわけですけれども、特に産業革命以来、人間が人為的に温室効果ガスを排出し続けてきたことが原因と言われております。
自らが招いた温暖化でありますから、自らの責任においてこれを防止をしていく、そうすることが、全生命に対する人類の責任だと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。

○東委員 地球温暖化がなぜ引き起こされたかということと、温暖化にさせた責任というものは、これはちょっと別なものでありまして、これは無論、人類がこういった地球にしてしまったわけですね。してしまった責任は人類が何とかしなければならない。これは当たり前のことだと思うのです。
その人類が地球に対して、どのように貢献するか。そういったことが必要であるわけですので、そこは「貢献する」、「寄与する」ことと、地球をそうさせてしまった責任というものは人類にある、それはもっともだと思います。
中身について質疑を続けたいと思いますけれども、7条と9条の関係なのですけれども、地球温暖化の防止対策に関しては、すでに「地球温暖化対策の推進に関する法律」、そして「エネルギー使用の合理化に関する法律」が制定されて、法体系が整備されているところであります。
 そして道においても、温対法の規定に基づいて「北海道地球温暖化防止計画」を策定されております。
 この二つの法律と道の計画と、このたび提案されている条例、そしてそれに基づいて知事が策定しようとしている「地球温暖化対策推進計画」、これはそれぞれどのような関係になっていくのか、お伺いします。

○星野議員 さまざまな法律、特に省エネ法と温対法、さらにまたそうした法に基づいて道が持っている計画などとこの条例との関係に関する御質問であると思います。 
もちろん、国や道は、今申し上げましたような法や計画に基づいてさまざまな施策を展開していることは、私も承知しているところであります。
 ただ残念ながら、今、国の法に基づいて、一定規模以上の二酸化炭素を排出する事業者に国が排出総量と、それからどのようにそれを削減していくのかという、そうした計画書の提出を義務づけているわけですけれども、これは国においては、法律の中では、それらはその概要を公表すると、その概要ということになっておりまして、個別事例については、公表されておりません。
 それを今回、私たちの条例の中では、理解と協力をいただきながら、提出をいただき、公表するということにさせていただきました。
 つまり、法なりさまざまな計画を補完する、あるいは相乗効果をねらうことで、より具体的に、その条例が求める対象も事業所、いわゆる二酸化炭素の排出量の多い事業所だけではなく、一定規模以上の大きな駐車場を持っている皆さんですとか、あるいは一定規模以上の大きな建物を建てる建て主さんですとか、そのようなところにまで広げております。以上でございます。

○東委員 特に地球温暖化推進計画の策定に当たっては、道の環境審議会の意見を聞くこととされているのですが、しかし、計画に基づく施策の実施状況については、審議会とは別に学識経験者による評価を受けることとされているわけなのです。
 事業評価は、いわゆるPDCAサイクルに基づいて、効果的な施策の推進を担保する、その目的なのですけれども、施策評価は環境審議会あるいは審議会の部会が行うことが望ましいのではないか、と思うのですが、どのように考えていますか。

○星野議員 確かに、道がつくる計画は、環境審議会の意見を聞いた上で、つくることになっています。
 この条例案の中では、その計画に基づいて展開された施策を評価するのは、有識者会議という形にしておりまして、別人格にしております。
この有識者会議は、温暖化防止にさまざまな場面から、あるいはそれぞれの地から、深い造詣を持たれ、あるいは関心を持たれているいろいろな方によって構成をする第三者機関と想定をしております。
 先ほど申し上げましたように、計画づくりに関与する、今回道は条例に基づいて、条例が施行されれば、推進計画をつくるわけですけれども、その計画をつくる審議会とその計画に基づいて展開された施策を評価する機関は、別人格とした方がより総合的、あるいは立体的な成果を生み出せるのではないかと考え、このような構造にしたわけであります。

○東委員 そういうことで、審議会は別にまたつくると確認させてもらってよろしいですか。

○星野議員 審議会を別につくるのではなくて、推進計画をつくるのは今の環境審議会に意見を求めます。
 そのでき上がった計画に基づいて、道がいろいろなことをやるのですけれども、そのやったことについてどうであったのかという評価をしていただく機関は、審議会とは別の第三者機関、有識者会議を想定しております。

○東委員 次に、6条と12条の関係についてお伺いします。
 12条の関係なのですけれども、一定規模以上の事業者については、温対法や省エネ法によって、国への温室効果ガス削減計画書の提出が義務づけられています。
 これらの特定事業者に対して、国の計画書と同様の計画書を提出させる、そのようなことになれば、屋上屋を重ねていくようなもので、事業者に必要以上の事務負担を強いることになると思うのですが、どうでしょうか。

○高橋議員 事業者への負担の問題でございますけれども、産業部門につきましては、これまで国の対策や企業の自主的な努力によりまして、一定の成果を上げておりますけれども、産業界がこれまで行ってきた温室効果ガスの排出削減に向けたさまざまな努力につきましては、ほとんど周知されていないのが現状でございます。
このため本案では、これまでの実績を踏まえまして、削減報告書などの提出については、国と同じ範囲としながらも、記載項目を減らして、事務の軽減を図ってまいりたいと思いますし、またそれを公表することで、温室効果ガスの排出削減の努力をしている事業者の姿勢を広く道民にアピールしていきたいと考えております。
 報告書の様式につきましては、今後規則で決めていくことになりますけれども、関係者の意見も踏まえながら、事業者に必要以上の負担がかからないように工夫する必要があるものと考えております。

○東委員 特に、交通運輸の関係の事業者には、省エネ法を超える基準で計画書の提出を義務づけられているわけです。具体的に言うと、バスとトラック事業については、省エネ法では所有台数200台以上の大規模事業者を対象にしているわけなのですけれども、条例案ではそれを100台以上と、半分の規模の事業者にまで拡大している。いわゆる中小の小さい企業にまで拡大しているということなのです。
 タクシー事業については350台以上となっているところを、保有台数150台以上の事業者までと、それぞれ国の基準に上乗せしている。
 道内の景気は、ご存じのとおり、いいふうにはなっていない。そのような中で、地場を支える中小零細企業にまで拡大する。そのようなところの必要性、考えをお伺いしたいと思います。

○高橋議員 計画提出義務者の範囲の拡大についてでございますけれども、計画提出義務者の範囲につきましては、北海道のいわゆる広域・点在型という特性を踏まえまして、道内での事業シェアを他県の状況などとも勘案しながら、法律で対象としない事業者の意見も踏まえまして、本案に盛り込んだところでございます。
なお、計画の実績の公表につきましては、温室効果ガスの排出削減に努力しております事業者の姿勢をアピールできると、自らのピーアールの場になることで効果があるものと考えております。
とりわけ北海道につきましては、国内の平均でいきますと1.4倍の排出があるということで、その2割が輸送関係であるということも含めまして、今回の私たちの条例につきましては、法でカバーできないところについても提案をさせていただいたということです。

○東委員 ぜひ、そういった負担の細かなところのデータ、そういったことも聴取していただきたいのと、特にバスですね。これだけガソリンも高騰しているわけですけれども、なるべく公共の運輸機関を住民に使っていただきたい、マイカーから公共運輸機関へ、そういった中でのバス事業者を直撃することのないようなあり方を探っていただきたいと思っております。
 次に、法の基準に上乗せされた事業者が設定した削減目標、そして、その妥当性を判断しなければならないけれども、どのような基準で判断をされるのか、お伺いいたします。

○高橋議員 法の基準に満たない事業者の削減目標についてございますけれども、先ほど、星野代表から申し上げましたとおり、本条例につきましては総量規制をするものではございません。
 あくまでも事業者の自主的な削減努力を求めるものでございますから、道におきまして、事業者から提出をされました削減目標の妥当性を判断するということは想定をしておりません。
事業者はエネルギー使用量を排出量に換算をいたしまして、その排出量に対する削減計画を作成するものでありまして、したがって、妥当性ではなくて、削減努力をするということにCO2削減の大きな意義があるものと考えております。

○東委員 条例案を策定するに当たって、民主党さんは事業者から意見を聞いたということなのですけれども、どのような意見があったのか、お伺いします。

○高橋議員 事業者からの意見でございますけれども、本条例案の対象となります315事業所・団体に対しまして、今年1月に実施いたしました文書による意見照会におきまして、40件の意見や要望が寄せられたところでございます。
 それらの意見につきましては、私たちの見解を文書で送付をして、御理解をいただいたところですが、主な意見といたしましては、温室効果ガス削減等計画などの公表の仕組み、公表していない国との比較をはじめ、冬期における室温20度以下の取り組みや産業界への配慮についてものでありました。
運輸事業者・団体におきましては、公共交通機関の転換について、賛同をいただいているほか、本条例の制度設計につきましては、ほとんどの事業者から理解が得られたものと考えております。

○東委員 そう言い切られるとなかなか言えないのですが、我が会派には、このような厳しい経済状況を踏まえて、事業者に大きな負担がないような意見というのは、数々寄せられているわけなのですね。
 そして、先ほども申し上げましたとおり、交通・運輸事業者の件もそうなのですけれども、随所に観光客に義務を課す内容、これは精神的なものなのか、どうなのかあるのでしょうが、北海道、今、観光振興といった面では一つの柱として進めているわけでありまして、6条の規定、これ道外からの旅行者にも協力を呼びかけるような表現、あくまでも協力だと、というような表現、そういった緩やかな規定への配慮、そういったことを望みたいと思いますけれども、どうでしょうか。

○高橋議員 観光旅行者等の責務についてでございますけれども、温暖化防止を図りまして、本道の観光の資源であります優れた自然、風土を守ることは、観光振興の観点におきましても、極めて重要でありますことから、パブリックコメントの意見なども踏まえながら、本条例の目的に、地球温暖化の防止や本道の魅力向上につながる旨を追加したところでございます。
なお、北海道環境財団の辻井理事長からは、本州に比べ冷涼な本道におきましては、観光客の理解も得やすいのではないかとアドバイスもいただきました。
 なお、環境先進県などでは、バスやタクシーといった公共交通機関は、客待ちの際には必ず冷房を切るなど取り組みが定着しております。
 本州などに比べて、涼しい本道におきましても、夏季の省エネルギー対策などは、観光旅行者の理解が得られるものと考えております。
 また、観光旅行者の責務規定につきましては、パブリックコメントにおきまして、厳しくすべきという意見もございましたけれども、観光振興の均衡も配慮いたしまして、努力規定といたしたところでございます。

○東委員 示されている特定事業者以外の事業者も、提出することができる、公表することができるということなのですね。それでもって、温室効果ガスの排出量の捕捉率というのは、どのくらいの効果を見込んでいるのか、お伺いします。

○高橋議員 計画提出者の範囲の拡大による効果でございますけれども、先に申し上げましたとおり、本条例に基づく事業者温室効果ガス削減等計画につきましては、事業者自らが削減目標を定めますとともに、目標を達成するために講じます措置を記入することとしております。
総量規制を行うものではないことは、先ほども申し上げました。
 どのくらいの事業者が計画書を提出するのかは、未知数でございます。捕捉数を想定することも難しいものと考えております。
なお、特定事業者以外の事業者には、提出を促すものではなく、提出することができるといたしましたので、多くの事業所が計画書の提出をしていただくことを願っております。つまり、意欲的な取り組みを期待するものでありまして、ピーアールの場を提供する制度と考えております。

○東委員 次、15条と17条の関係なのですけれども、規則で定めようとしている道民の行う特定地球温暖化防止行動、その内容はどのようなことを考えているのか、お伺いします。

○星野議員 道民が行う特定地球温暖化防止行動の内容でありますけれども、内容そのものは、この後、規則でいろいろと決めていくことになります。
今回、議員提案でありますけれども、議員がつくるのは条例まででありまして、その後の規則は知事がつくることになっていくわけでありますが、ただ、私たちとしては、無責任に条例だけをつくるのではなくて、このようなものを想定しているということも、骨子の段階からいろいろと明らかにしながら、御意見もいただき、まとめ上げてまいりました。
それに基づきますと、例えば、家庭における電力使用量を節減をする。さらにまた、エコマーク認定商品など環境物品を購入する際には選択する。あるいは、さまざまな廃棄物を抑制する。さらにまた自動車でありますけれども、温室効果ガスの排出量が少ない自動車を、どうせ買うならそのようなものを買おうというようなことをする。あるいは、植林・植樹など吸収策も進めていく。このようなことを想定しております。そのような中身の規則を、ぜひ条例が施行された段階では、知事につくっていただきたいと考えているところであります。

○東委員 その行動なのですけれども、道民からの申請があれば、認定のうえ認定証を交付することができるのですけれども、継続的に認定管理をする上には、事務作業が膨大ではないのか、人員ですとか、時間ですとかをどのように考えているのか、お伺いします。

○星野議員 他の県の同種類の条例、あるいは道が持っている全く別の、環境ジャンル以外の条例におきましても、道民に対して、あるいは県民に対して、義務まではいかないけれども努力を求める努力規定というのは、よく見受けるところであります。それは委員も同じだと思うのですけれども。
 ただ残念なのは、「こうしよう」、「こうしようではないか」と努力を求めるけれども、その後はあまりないのですね。お願いするだけで。
 そうではなくて、この条例の制度設計の柱の一つでありますけれども、そうした努力が、道民だけではなく事業者もそうなのですけれども、努力を求めたら、そしてそれに応えて努力をした道民、事業者には、何か報いていこうではないかという制度をつくったのは、今回の認定制度であります。
 しかしながら、今御指摘がありましたように、いろいろなことをやったら相当なボリュームになろうかと思います。
ですから、できるものから順次、規則ですから増やしていくこともできるし、柔軟に対応しながら、次々とできるところから始めていきたいと考えております。

○東委員 柔軟に対応すると。何となく気持ちはわかりますけれども。
相当大規模な事務量が、もし想定するとなると、行財政改革を進めなければならないときに、逆行するという意見も出てくるであろうと思いますし、その点、留意をしていただきたいと思います。
次15条なのですけれども、道民等の活動を事業者が支援した場合、その目標達成の補完的手段として扱って、当初設定の排出目標を達成できなかった場合には、実際の排出量から控除できるとされているのですけれども、道民等の多様な活動を数値化する基準については、どのように考えているのでしょう。

○星野議員 難しいものもたくさんあろうかと思います。これはいわゆる補完的手段というものでありまして、例えば、先ほども道民の行動として想定する事業なども申し上げましたけれども、電気代などは直ちに換算できますし、さらに北海道は特に冬の暖房などは、非常にたくさんの灯油、化石燃料を使いますから、それが同じ世帯数で、去年よりこれだけ減ったということになれば、その道民が削減した二酸化炭素量なども数値化できると、考えております。
 他の先進県などもいろいろなことをやっておりますので、そうしたことも参考にさせていただきながら、参考にさせていただくといっても、私自身規則をつくるわけではありませんけれども、そのようなものを参考にしながら、ぜひ今後、道がこの条例に基づく規則をつくったり、施策展開をする際には、参考にしながらやっていただきたいと思います。
 今の科学技術を用いれば、あるいはさまざまな経験則に基づけば、相当な部分、削減をした部分は数値化できるものと思います。ただその際には、お金がかかったり、手間暇がかかったりするものもありますので、そうではない、明らかに簡易な形で数値化できるものから始めていくべきであろうと思います。

○東委員 支援活動の中には、エコポイント事業も対象とされております。これについては、京都府の例と横浜市の例がありますが、恐らく調べられていると思いますので長々と説明する必要はないと思いますが、この中でもその計画でモデル事業を実施してその検証を行ってから本格実施を検討すべきであるということ、環境省のエコポイントモデル事業も今年度からスタートすることになっていて、これには北海道環境財団の提案も採択されている、このような取り組みなのですけれども、有効な手段として考えるのであれば、国や京都府のモデル事業などを大いに参考とした上で取り組む必要があって、条例に規定することは時期尚早ではないであろうか、そのような考えもあるのですが、どうでしょうか。 

○星野議員 条例の中ではエコポイントという表現そのものは使っておりません。ただ、想定はしておりますけれども。今のお話にありました京都なり横浜は、相当いろいろなことをされております。
 エコポイントという表現かどうかは別として、道民が行うものに対して知事が何らかの形で認定をする、それは先ほどの質問のときにちょっとふれましたけれども、事業者が行う削減計画の補完的な手段になりうるという制度設計をしました。
 これは、総量規制ではありませんから、あなたの会社は何%減らせと言われて減らせなかったから、どこかからもらってくるということにはなりませんけれども、自らが立てた計画が、何らかの事情で達成できそうもないなというときに有効な手段、補完的な手段となりうると思っており、その道をひらいた制度であります。
 京都府には、自民党の環境生活分野提案条例研究会の皆さんと同行させていただいて、京都の担当主幹といろいろな深く議論をさせていただいた。そのときにも、この制度についてはいろいろな議論をさせていただいたのですけれども、その後新聞で、京都はモデル事業としてスタートしたという話も聞いております。
 この後も議論になるかもしれませんが、今、排出権の取引が話題になっていますが、あれは、国と国なり、企業と企業でありますけれども、これは、事業者と道民の間の排出削減量の将来買い取りができるような市場の構成というものも将来はこの制度を設けることによって生まれるのかなと期待をしております。
 いずれにしましても、京都はモデル事業としてスタートしたようでありますから、そうしたところを十分に情報収集しながら北海道においてもできる形でスタートさせるべきと考え、この制度をつくった次第であります。

○東委員 25条なのですけれども、先ほど、事業者のところでふれましたけれども、自家用車から公共交通機関へ転換促進していくというのは有効な対策だと思うのですが、道が講じる必要な措置とはどのようなことを想定しているのかお伺いします。

○日下議員 お答えします。先ほど、6条及び12条の項のところで、東議員から御指摘のありました公共交通機関利用等への転換の積極的な促進のあり方でありますけれども、道民や観光旅行者等が自動車のかわりにバスや鉄道などの公共交通機関をより利用しやすくなるよう、例えば公共交通のあり方を考える協議会の検討、道民等に対して公共交通利用促進の他、自転車、あるいは、徒歩、あるいは低炭素の移動手段についてのピーアールなど、こういったことを私たちとしては想定しているところであります。

○東委員 協議会も結構ですし、自転車も徒歩も結構だと思うのですけれども、なにせ広い北海道であります。そういったところの現実性を、ぜひ加味していただきたいと思います。
次、28条にいきたいと思います。温室効果ガスの排出量が比較的少ない自動車という表現は、わかりやすいように低公害車とすべきだと思うのですが、どうでしょうか。

○日下議員 低公害車への名称変更についてでありますが、これにつきましては、本条例の目的、環境全般ではなくて地球温暖化防止に絞っているところであります。したがって、低公害車という表現では騒音、あるいは大気汚染などを含む広い意味での環境という概念になります。誤解を生じかねないと判断をしてこういうことにさせていただいたわけであります。
 また我が国では、環境省、国土交通省、経済産業省の3省が示す、低公害車、これは電気自動車、メタノール自動車、圧縮天然ガス自動車、並びにハイブリッド自動車の4種、これを定義をしております。
 LPG車や燃料電池自動車、低燃費車やバイオエタノール車、BDF車いわゆるてんぷら油製の燃料使用車ですね、これは低公害車とはされていないわけであります。
 したがいまして、条例ではそれらも含めて温室効果ガスの排出が比較的少ない自動車とならざるを得ないので御理解をいただきたいと思います。

○東委員 次、9章の関係なのですけれども、温暖化防止対策としてバイオ燃料の利用促進も有効であると、そして、いっそのこと道内におけるバイオ燃料の生産拡大等利用促進、これらも盛り込むべきだと考えておりますけれどもどうでしょうか。

○日下議員 バイオ燃料の利用促進についてでありますが、御指摘のとおり、バイオ燃料の利用促進、これは環境保全に向けた有効な取り組みと考えております。
 再生可能エネルギーの定義につきましては、太陽光のほか、風力、水力、バイオマスなど広範囲としております。

 具体の取り組み事例でありますけれども、バイオ燃料の生産拡大と利用促進の条文への明記はなじまないため、道が策定することとしている地球温暖化対策推進計画、地球温暖化対策指針において取り扱うものと考えているところであります。

○東委員 もう一つ提案なのですけれども、やはり地球温暖化防止を図る上では、再生エネルギーとともに、やはり原子力エネルギーというものも避けては通れないのではないだろうかと思うのですけれども、その趣旨の盛り込みについては、どう考えていますか。

○日下議員 原子力のエネルギーの活用についてでありますが、原子力については現段階でも各方面でさまざまな議論がなされているところであります。
 他県の温暖化防止条例等もを参考にしながら、本条例においても、実は取り扱わないこととしたところでありますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。

○東委員 以上の点は今後の議論にまかせて、今後ともいろいろやり取りがあると思います。
 あと、44条の関係についてなのですが、食の安心・安全が強く問われておりますけれども、本道こそ地産地消の考えに沿ったフードマイレージの取り組みを定着させていくべきと思っております。食品に特化した規定として整理すべきと考えますがどうでしょうか。

○高橋議員 フードマイレージについてでございますが、フードマイレージの定着につきましては、温室効果ガス排出削減への効果があるものと考えております。
 なお、条例上の表現におきましては、道内生産者の販路拡大の取り組みとの関係も考慮した上で、道産食材のみならず、農林水産物すべてを対象といたしました地産地消という分かりやすい表現で条例に盛り込んでございますので、御理解願いたいと思います。

○東委員 あと、目的の趣旨にある、今もそうですけれども、将来に向けての目的の趣旨がありましたけれども、やはり、温暖化そして地球環境という問題でありますから、今時点で責任を負っている我々、大人のみならず子供にも大きな課題であるということを認識していただけるような環境教育、学習に関する規定を盛り込むべきではないかと思いますが、どうでしょうか。

○高橋議員 環境教育、学習についてでありますが、将来にわたります環境教育などにつきましては、極めて重要な課題と考えております。
 本条例の目的は、環境全般ではなくて、地球温暖化防止に絞っているために環境教育又は環境学習という表現になりますと、先ほど日下議員からもございましたけれども、騒音、さらには大気汚染これらを含む広い意味での、広義の環境という概念になり、誤解を生みやすいことになりますので、御理解いただきたいと思います。
 なお、昨日の本会議場におきましても環境に関する教育委員会の見解が示されたところでございます。すでに小学校や中学校におきましても、温暖化を含めた環境問題につきまして、カリキュラムに盛り込まれておりまして、教育委員会にはその充実をさらに求めてまいりたいと思います。
 また、条例案第40条におきまして、道の責務の一つといたしまして、情報の提供、学習機会の確保を明らかにさせていただきました。御理解いただきたいと思います。

○東委員 長々とお伺いしてきましたけれども、環境という問題について、本当に、党派問わず一つの柱をつくって行かなければならない、そういったことは我々も理解をしているところでありますし、しかし、細部になると、見解の違いもあるかもしれない、感覚の違いもあるかもしれない、そこをどうやって結びつけていくか、今後の議論、真剣に我々も討議していきたいとこのように思っております。
 さて、そういった中で来月はサミットがあります。北海道洞爺湖サミットにおいては、地球温暖化防止の対策について、首脳の共同宣言も想定されているわけであります。
 そして、このたび、提案されている条例というのは、まさに時宜を得たものであって、環境サミット記念条例といっても言い過ぎではないくらいのマッチした条例なわけであります。
 そのようなことになりますと、サミットが3日間で行われるわけですから、それらの趣旨ですとか、首脳の共同宣言の成果ですとか、そのようなことも前文に盛り込むくらいの記念条例にしてはどうかと、そのような提案をさせていただきたいと思いますけれども。これを最後にして質問を終わらせていただきます。

○星野議員 条例の前文については、実は、いろいろと検討しました。今の委員の御質問は二つ趣旨があろうかと思うのですが、前文をつけてその中にいろいろ入れた方が良いのではないか、内容については、サミットがあるのだから、そのサミットの成果をその中に入れた方がいいのではないかという、2点だと思うのですけれども。
 まず、前文については、本当は私もつけたいと思います。ただ、一般的には条例、法律もそうですが、基本条例の中には制定をする理念なりを強調しようとしてつける場合がありますけれども、一般的にはないということで、最終的には簡潔な目的とさせていただいたわけでありますが、そういうこともあって、昨日の提案趣旨説明、一番初めに申し上げましたように、あれが前文に匹敵するほどのものだったかどうかは別といたしまして、思いとしては立法精神を込めたつもりであります。
 あの中で申しましたように、知事が環境宣言を出されている、環境宣言は一つ一つ実行できればいろいろな効果を期待できるものと思っておりますが、せっかく知事が出された環境宣言ですから、それを制度という形で支えるというか、制度という側で担保をしていくルールとしての条例が必要ということで考えたわけであります。
 東議員とまったく同じ気持ちでおりますけれども、サミットの成果を踏まえてというのは一つの見識です。同時に、サミットを迎えるに当たって条例をつくっておくというのもまた一つの考え方だと思いますので、その辺については御議論いただきたいと思います。

○東委員 いろいろ共通する項もありましょうし、また次の委員会に質問を留保して質問を終わらせていただきます。

○織田委員長 以上で、東議員の質疑は終了した旨を宣し、次に、委員外議員の発言を許し、包國議員を指名。

公明党議員との質疑

○包國委員 まず、冒頭、織田委員長、中司副委員長初め、委員の皆様方には委員外の質疑を御許可いただきまして、ありがとうございます。感謝を申し上げたいと思います。
 それでは早速質疑に入らせていただきます。
 まず、本条例案の第5条第2項に定められております、道が実施する地球温暖化対策に協力するという道民の責務のところの規定でございますが、道の施策に道民が協力するということが、ここだけ取り上げると、若干他の条例等に比較して奇異な感じを受ける場合があるかと思いますが、どのようなことを具体的に想定されているのか、そういうことを含めてお考えを伺いたいと思います。

○高橋議員 それぞれの自治体に使われております条例につきましては、とりわけ自治体の責務、事業者の責務や市民、道民の責務がうたわれており、とりわけ、この条例だけが取り上げているのではないことを御理解いただきたいと思います。
 本条例案の42条から44条にありますけれども、冬期間における室内気温を摂氏20度以下にするですとか、夏季の早朝の時間帯を活用する取組ですとか、地産地消の推進など、あらゆるものが協力の中身と想定しています。
 また、条例制定後に道が策定いたします推進計画におきましてもさまざまな具体の取り組みを提示することになると思いますので、道民の皆様からも多くの意見などを提示いただけるものと思っているところであります。
 また、道が出されました環境宣言も道民の指針として望ましいものであると考えております。

○包國議員 今後の規則の制定でありますとか、そういったところに具体的な責務が書かれるであろうということと思います。
 それも踏まえて、いくつか具体的なこれから責務になりうるであろうと思われる点に関してお伺いしていきたいと思います。
 まず、レジ袋についてでありますが、自動車のアイドリングストップ等と比べまして、レジ袋の二酸化炭素削減効果は低いわけでありますけれども、御家庭の主婦でありますとか、御関心の大きさから言えば、レジ袋も大きな分野になろうかと思います。
 全国的には沖縄県のように全県でレジ袋を有料化している例もありますが、今後本道ではどのように考えていくべきか考えをお聞かせいただきたいと思います。

○高橋議員 レジ袋につきましては、地球温暖化のみならす、ごみの減量の観点からも重要であると考えておりますが、条例で義務化するよりも計画などに盛り込むべきと考えております。また、議会の皆様の御意見も伺いたいと思っております。
なお、条例案第5条1項で、日常生活における取り組みといたしまして、御指摘のマイバッグの実践につきましてもこの規定からお読み取りいただきたいと思います。

○包國議員 では、次にアイドリングストップの関係で伺います。これは、諸外国の例でございますけれども、信号待ちで前から4台目以降にとまった場合には、いったんアイドリングを停止する義務を課す例もございます。
 そういった、もう一歩踏み込んだ具体的な規制についてはどのようにお考えになっているのか、さらに、私の自動車がまさにそうなのですが、アイドリングをストップしてエンジンを切りますとウインカーが切れるという自動車がまだ多うございます。
 そうした自動車については交通安全の観点からも、切れないようにメーカーに新しい自動車を開発してもらうことを働きかけていく必要があるように思いますが、お考えを伺いたいと思います。

○高橋議員 自動車の関連施策についてでございますが、脱温暖化社会をつくるためには、私たちの生活一つ一つを見直すことが必要でございますし、また、それにかかわる必要な技術の開発も必要だと思っております。
 もうすでに流通関係の車、宅配便ですとか、アイドリングストップをしておりますし、また、公共の乗物ですけれど、バスなども交差点でエンジンをとめるなどもあります。
 ただ、技術的なものが開発されてございませんで、今度はエンジンがかかりにくくなってしまう、バッテリーに負荷がかかるといろんな問題がございますので、おっしゃるとおりメーカーに対しましてもより具体的なアプローチが必要だと思っております。

○包國委員 次にエコ発電システムについて伺いたいと思います。
 35条で再生可能エネルギーの利用について盛り込まれておりますけれども、私、農政委員でございますが、例えば、農業用水等を利用したマイクロ発電システム等につきましては、今後の農村の電気需要等の大半を賄えるのではないかと研究が進んでおります。そうしたことについて、認識を伺いたいと思います。

○高橋議員 さまざまな再生利用可能なエネルギーを、私どもは利用していかなければならないを思います。
 今、包國議員からのお話もございますけれども、水車などを利用いたしましたマイクロ水力発電などにつきましては、今は昔と違いまして、1秒間に数リットル程度の水の流れでも発電できるということで、再生可能エネルギーとしてもですね、有力なものと考えております。
 また、ジャイロミニ型の小型風力発電、これなども実用化されており、太陽光とあわせまして、家庭でも利用できるエコ発電であると認識しております。

○包國委員 それでは次に、カーボンオフセットについてお伺いをしたいと思います。
排出する二酸化炭素の量と同量の削減量を、クリーンエネルギー事業者などから購入して相殺をしますカーボンオフセットが、京都議定書の第一約束期間がスタートしましたことから、今後取り組みが広がると考えられています。
 折りしも、環境省もメタンガスの排出抑制を目的といたしまして、生ごみの直接埋め立てについては、今後原則禁止をしていく方向で、この間決めたということです。
 今後、カーボンオフセットの推進についてどのように考えか伺います。

○高橋議員 カーボンオフセットに関してでありますが、カーボンオフセットの考え方なり、排出権の取引と言うことに関し、国においても検討中と私も承知しています。
 EUなどにおいては、非常に大きなウエートを占めているものでありまして、我が国におきましても、非常に深い議論を特に期待したいと思いますが、北海道の場合、再生可能エネルギーの選択肢は非常に少ないわけですね。そのような本道では、グリーン電力の購入や、カーボンオフセットの仕組みというのは非常に意義あるものと考えております。
 この条例、先ほど事業者のところで御答弁させていただいたわけですが、削減計画を立てて実績とともに知事に報告する。ピーアールの効果があると申し上げたのですが、その中に各企業が行っているカーボンオフセットの取り組みなどについても特記事項として記入できるような工夫を、この様式をつくるときにしていって、そういった取り組みをさらに促進というか、促していくことが必要かと思っています。

○包國委員 まさに、産業活動の中で、マーケットの外部要因として発生した二酸化炭素というものをどの程度またマーケットの中に取り込んでいくのか、市場内で処理していくのかということが、このカーボンオフセットの基本的な考え方にあると思います。そこから、まさに、その次、先ほどおっしゃっておりました排出権取引という思想になっていくと思います。
東京都が、いよいよこの排出権取引の方にアクセルをかけたとの報道がされており、特に、一定の事業所に対する省エネルギー報告の提出を求めた上で、それらの排出権取引の促進を図るようであると報道されております。
 北海道については、おっしゃるように、特に私は、農業でありますとか、林業でありますとか、植林や農作業を通じた二酸化炭素の固定というものを将来、道外の事業者に売っていくことが、やはり市場化ということでは一番大事な観点だろうと思っておりまして、ぜひそうしたものが推進できるような具体的な取り組みも今後私どもの会派も含めまして、またこの機会で議論させていただきたいと思っております。
 最後になりますけれど、本道では、この排出権取引ですね、これから推進していくのか、あるいはもうちょっといろいろなことを考える必要があるのかを含めて、お考えを伺いたい。

○星野議員 排出権取引が東京都、東京都は温暖化防止条例という名称ではなくて、全体的な環境に関する条例、全面的なというか、かなり大きな改正が盛り込まれたようですね。
 私読んだのですけれども、なかなか難しい仕組みで、国として、まだ排出権取引が制度化されていない段階で、一つの地域が行うというのがどういう形なのか、私も関心があります。さらに勉強したいと思います。 
 北海道は、今おっしゃられたように、本当にたくさんの緑、森林の面積があるわけですから、排出権取引を行っていく制度上、非常に有効な地域であると思います。
 一地域でどこまでできるのか、東京都の動きなどを見ながら、場合によっては、その段階で条例そのものにも北海道でも、よしやれるぞとの機運が熟したとするならば、盛り込んでいくことも必要かと思いますが、現時点では、ちょっとまだ準備というか熟度が達していないのかなと思います。
 取引をするからには、まず何%減らすんだという規制が大前提になると思うのですね。あなたの会社は10%減らしなさいと言われたけれども、7%しか減らせなかったから、3%どこかで北海道で木を植えるとか、そのようなことになると思うのです。
 ですから、総量規制と取引はセットになるのであろうと思いますが、先ほど言いましたように、そのような先進的な取り組みをしている東京都なり、諸外国の議論というものを国全体でも行っていく機運が高まっていると聞いているので期待をしているところです。
 ただ、先ほども申し上げましたが、北海道においては、既存の国と国、企業と企業の間の排出権取引ではありませんけれども、企業と道民の間の取引と、つまり、二酸化炭素を道民が一生懸命吸収する、あるいは排出削減する。それは誰がやっても北海道全体に寄与すればいいわけであり、まして、そのような道民一人一人がやった、寄与が取得するという道をこの条例の中では制度として、道をひらかせていただいたつもりでありますので、施行された段階では、それをぜひ活用しながら全国に先駆けた取り組みにもなろうかと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。以上です。

○包國委員 繰り返しになりますが、企業と道民の取引というところの企業が、できる限り道外の企業であることが、やはり今後望ましいと私ども考えておりますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 最後でございますが、これは指摘でございますが、クールアースデイ、私どもも党の青年局の署名運動をずっとやっておりました。
 今回、総理の素早い決断によりまして、7月7日をクールアースデイと定めていただきまして、本条例にも北海道クールアースデイの宣言が盛り込まれるということで非常に感謝しております。
 今後、私どもも、しっかり道民の皆さんとともに、こうした普及啓発活動を進めながら、北海道の財産というものが活用できるよう頑張っていきたいと思いますので、こうした場をお借りいたしまして議論させていただく機会もあるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

○織田委員長 以上で、包國議員の質疑が終了した旨を告げ、次に、真下議員を指名。

共産党議員との質疑

○真下議員 初めに、会議案第1号について、環境生活委員会で質疑の機会をいただいたことに心から感謝申し上げます。
 初めに、民主党・道民連合から御提案のあった北海道地球温暖化防止対策条例案についての質疑に先立ちまして、環境生活部にこれまでの北海道の取り組みなどについて、伺ってまいりたいと思います。
北海道は、これまで、2000年6月の北海道地球温暖化防止計画のもとで2010年までに9.2%の削減目標を掲げてきましたが、進捗状況はいかがかということと、また2010年までの目標残と対策についてはどのようにお考えか伺います。

○木場参事 地球温暖化防止計画の進捗状況などについてでございますが、2005年度に実施をいたしました本道の温室効果ガス排出量実態調査では、2003年度の排出量は、地球温暖化防止計画における2010年度の削減目標であります1990年比9.2%減に対しまして、14.2%の増となっており、また、森林の吸収量を差し引いた排出量では、2.9%の増となっており、2010年度の削減目標に対しましては、12.1%の増加となっているところでございます。
 こうした中で、道ではこれまで、道民の皆様方に対する情報提供や意識の高揚に努めますとともに、事業者を対象とした省エネルギー設備の導入促進や雪氷や風力エネルギーの活用、さらには吸収源対策としての森林整備など、種々の観点からの取り組みを進めてきたところでございます。
 また、今年度からは新たに、日常生活における効果的な二酸化炭素の削減方法が示される環境行動診断システムの構築や、自動車・交通安全団体などと連携をいたしました実践的な運転技術を体験・習得するエコドライブの普及、また、スーパーマーケットや飲食業界などと連携をしたクールアイランドキャンペーンなどを展開することとしているところでありまして、道としては、今後とも、道民や事業者の皆様を初め、関係機関との連携を強化しながら、北海道地球温暖化防止計画の削減目標の達成に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

○真下議員 削減目標に比べても増加傾向にあって、その役割を果たしてこなかったのではないかと思うのですね。
 実態としては1990年の温室効果ガスは2012万トンに比べて、2003年度で2297万トン、14.2%も伸びています。全国の8.3%をはるかに上回っている。こういう実態なんです。CO2の排出では、16.9%もの伸びでありまして、このままでは目標の9.2%をとてもクリアできないということは、おわかりではないかと思います。
 こういった状況に至った原因はどこにあるのか、お伺いします。

○木場参事 本道の温室効果ガス排出量の増加についてでございますが、道民一人当たりのCO2の排出量は、全国平均の1.3倍となっておりますが、こうした背景には、本道の積雪寒冷という自然条件から、冬期間の暖房が不可欠であることや、広域分散型という特性から、輸送・移動手段としてトラックやマイカーへの依存度が高いことなどがあるものと考えているところでございます。
 また、こうした状況と相まって、世帯数や自動車保有台数の増加、また、オフィスなどにおける電気使用量の増加などが要因となって、温室効果ガスの排出量が増加しているものと考えているところでございます。以上でございます。

○真下議員 産業界が最多のCO2を排出しているわけですね。北海道の場合、ここに削減傾向が見られないということはですね、一番大きな原因ではないかと思うのですけれども、北海道と同じ期間で10年間で10%の削減目標を掲げている京都では全国でも数少ない削減傾向の自治体となっています。
 北海道の取り組みとどこに違いがあるのか、検討したことはございますか。

○木場参事 京都等の取り組みに関してでございますけれども、私ども既に温暖化防止条例を制定しております京都府を初めといたしまして、大阪府、長野県それから静岡県、和歌山県、ここに直接赴きまして担当の部局の方々との御意見の交換、あるいは、情報の収集等を通じて、調査研究を進めているところでございます。以上でございます。

○真下議員 それではぜひ、先進県を見習ってそれ以上の取り組みを北海道に期待しておきたいと申し上げておきます。
次に、今年3月に決定した環境基本計画の第2次案では、温室効果ガス、現状の2070万トンを1827万トンにする目標としています。削減率はしかしながら12%ということにしかなっておりません。これで先進国の一員として、また環境サミットの開催地として地球温暖化防止に効果的役割を果たしていると言えるのかどうか。
 東京都では中期目標を25%削減と挙げております。比較をすると北海道はあまりにも低い目標ではないかと思いますけれども、この点はいかがお考えでしょうか。

○木場参事 環境基本計画の削減目標についてでございますが、第二次計画では、北海道地球温暖化防止計画と整合性を持たせまして、平成20年度における温室効果ガスの排出量を炭素換算で1827万トン、基準年度比マイナス9.2%としているところでございます。
 温暖化防止計画におけるこの目標は、計画策定時以降何らの対策も講じないとした場合に想定される温室効果ガスの排出量から、計画期間内における国や道、道民、事業者などの取り組みを通して削減されることが可能と想定される温室効果ガスの量と森林吸収量を差し引くことにより設定したものでございます。
 道といたしましては、今後とも温暖化防止計画の目標達成に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

○真下議員 削減目標はやはりもう少し大きく持たなければですね、9.2%の目標でも達し得ないで逆に増加していっているわけですから、ここのところはもう少し引き上げていく必要があるのではないかと思っております。
そこでですね、全国知事会のエネルギー・環境問題特別委員会地球温暖化対策専門部会というところが環境省あてに要望書を出しております。昨年の11月です。その中で、「削減目標の定量化、及び協定などによる実効性のある担保など、抜本的な方策を講じること」と明記されておりますけれども、道はその実効性をどのように担保しているか伺います。

○木場参事 全国知事会の「京都議定書目標達成計画の見直しに関する要望」 についてでございますけれども、国におきましては、京都議定書目標達成計画の見直しに際して、産業界に対し、「温室効果ガスの削減目標の定量化」や「目標達成業種における目標引き上げ」などの働きかけにより自主行動計画の推進・強化を図りますととともに、省エネ機器の買いかえや国民運動の一層の推進、太陽光を初めとした新エネルギー対策の推進などを通して、第1約束期間の目標達成に向けた各部門における対策の強化が図られているところでございます。
 道におきましては、こうした取り組みを踏まえまして、環境行動診断システムの構築を初め、エコドライブの普及や、企業の環境への貢献を評価する制度の創設、さらには家庭や職場において実践できる温暖化防止行動をテレビで呼びかけるキャンペーンの展開などを通して、京都議定書の削減目標達成に向け、温室効果ガスの実効ある排出抑制対策を推進をしているところでございます。以上でございます。

○真下議員 この専門部会は、削減目標の定量化及び協定というところに踏み込んで、大変先進的な提案だったと思うのですね。道からも参加をされていると伺っておりますので、やはりここのところをですね、さらに実効ある一歩を踏み出していただきたいと思うわけです。
次にですけれども、今月2日付で北海道新聞で北大の林学に係わる石井北大名誉教授が「北海道独自の中期目標の提起や東京にも学んだ削減協定締結を提起することはインパクトのあるメッセージとなるだけでなく、気候変動に対する強力な推進力になる」とこう提案をされております。私も同じ考えです。道も高い中期目標を提起して、削減協定締結の提起を決断すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○村井環境局長 中期目標などについてでありますが、中期目標につきましては、5月に開催された主要8カ国、G8環境大臣会合におきまして、その設定の必要性が議長総括に盛り込まれたところであり、こうした国際協調に基づき解決していかなければならない課題に関しましては、今後、北海道洞爺湖サミットを初めとした国際協議の場などにおいて、さらに議論が深められていくものと考えているところでございます。
 また、温室効果ガスの排出抑制を促進する手法の一つとしての協定に関しまして、産業部門の温室効果ガスの削減につきましては、省エネ法や温暖化対策推進法において、事業者に対する温室効果ガス削減に関する計画の策定や、排出量報告が義務づけられるとともに、経団連の自主行動計画に基づき、製造業やエネルギー産業など各部門におきまして、その削減に向けた取り組みが進められているところであり、道といたしましては、こうした国の取組状況などを踏まえながら、対応してまいりたいと考えているところでございます。

○真下議員 国の状況を見ていくとですね、おくれていくわけですよね。
 ですから、北海道は先進的な取り組みを提案しているわけですけれども、IPCCレポートでは、緊急な温暖化防止対策が必要であるとしています。また、スターンレヴューでは気候変動対策と経済との両立は可能であるという主張がなされておりまして、道としては、こういった世界の動き特に環境先進国であるEUのこういった動きや考え方をどのように受けとめているのか伺っておきます。

○高井環境生活部長 気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCレポートなどについてでございますが、地球温暖化は、海水面の上昇や異常気象による甚大な自然災害をもたらすとともに、食料生産への影響や感染症の拡大といった健康への影響を及ぼすなど、地球規模の深刻な問題であって、国境を越えた協力のもとに、人類の英知を結集して解決すべき極めて重要な課題であるとされているところであります。
 また、本道の豊かな自然環境は、地域の産業活動や道民の暮らしを支える貴重な財産であり、この恵まれた環境をしっかりと保全し、未来へ継承していくとともに、環境の保全と経済活動とが調和する取り組みを進めることが必要であると考えておりまして、道としては、温暖化防止を初めとした地球環境の保全に向け、今後とも、地域から積極的に貢献してまいりたいと考えております。

○真下議員 部長の答弁にありましたように、地球温暖化防止、環境の保全と経済活動というものの両立が課題になっていって、それを両立してこそ温暖化防止対策が実効あるものとなるのであると、これが世界の流れになっているわけですね。
 これまで、環境生活部から北海道のこれまでの取り組みなどについて答弁いただいたわけですけれども、残念ながら、目標を掲げているけれども、目標が削減の方向に向かうどころか増加しているということで、その対策もいま一つであると。
 北海道は、世界から取り残されてしまうのではないかという懸念をもっております。
 そこで、これまでの道の対策について、提案者はどのように評価されているのか初めに伺いたいと思います。

○星野議員 後ろにたくさんいらっしゃるので答えにくいですが、これまで道が何をやってきたかというよりその結果どうなったか、という今の現状についてどう認識しているのか、というような御質問だと思います。
 先日、新聞報道されておりましたけれども、環境ジャーナリストの枝広淳子さんの調査によりますと、地球温暖化対策の都道府県ランキングということをやっているんですね。北海道は、1990年度に比べて、去年だったかな、二酸化炭素排出の削減実績では47都道府県中なんとか29位にというか残念なランクになっております。
 今後の温室効果ガスの削減目標も14位ということで、サミット開催地としては残念ながら低調だなという受けとめ方をさせていただいておりまして、新たな、目標の設定も大事なのですけれども、それを裏づける制度の存在が必要だと考えているところであります。
 全国の、CO2の削減実績の中で、実はマイナスになってるところは、三つしかないんですね。どこだったかな、和歌山と京都と茨城です。茨城は持ってないのですが、和歌山と京都は、先ほど木場参事からもお話がありましたように、温暖化防止条例を持っている、対策の先進県だと私も思っています。茨城はちよっと特殊なケースで、相当なシェアを占めているコンビナートがあって、特別な対策を今回施したことによって削減をしていったわけですけれども、和歌山なり京都はやはりこの条例の効果があったんだろうなという風な受けとめ方をこのレポートを見て感じた次第であります。

○真下議員 私ども日本共産党の方ではですね、地球温暖化対策の欧州調査団を出しまして、いろいろ向こうで議論をしてまいりました。
 EUでは「今後の気温上昇を産業革命比で2度以内に抑えることが至上命令であり、そのために先進国が率先して温室効果ガスの大幅削減をする必要がある」という認識というふうに共通に決意が口々に語られていたようですし、また、そういうことがあるからこそ、ドイツの環境大臣ですとか、デンマークの気候・エネルギー大臣が発言をしているんだと思うわけですね。
 ところが、EUだけではなく、もう日本の中でも東京都はですね、カーボンマイナス東京10年プロジェクトというのをつくっておりまして、「我々が目指すのは、こうした劇的な削減を可能とする21世紀の新しいモデルを東京においていち早く実現していくことである」と明記をされているわけです。提案者の地球温暖化に対する認識、及び地球環境が回復不能となる前に世界全体の排出量を減少に向かわせるためのローカルビジョンとしての条例であることを、条例案の目的に書き込むことが必要ではないかと思いますので、その点を御提案したいのですけれどもいかがでしょうか。

○星野議員 前文のことであると思うのですけれども、必要なことであると思います。ただ結果として、今回前文をつけずにストレートな目的というところから設計させていただいたのですが、先ほども二度三度お話しましたけれども、この条例をつくるにあたって、提案者がどのような認識を持っているのか、ということを明らかにすることは、責任ある行動であると思います。
 そのことについて、提案説明のときに述べさせていただきましたし、きょうの委員会冒頭でも、提案説明は立法精神を表明したものと受けとめていただきたいともお話させていただきました。
 その中で、昨日の提案趣旨説明の中で、今お話のありましたように、このまま何もしなかったら、回復不能な事態になってしまうよ、という認識を持てと、それから、世界の全体量を減らしていくローカルビジョンとしての役割を担うということを書け、という御提言かと思うのですが、その二つ、「何もしなければ回復不能な事態に陥る」という認識、それから「世界の量を減らしていく一翼を北海道から担っていく」という表現でありましたけれども、昨日の説明の中に入れさせていただいたということで、御理解をいただきたいと思います。

○真下議員 御答弁いただいたので、そのようなことで理解したいと思います。
 同様に、東京の例を引いて、何点か質問しますが、カーボンマイナス東京10年プロジェクトでは、2000年比なのですけれども、2020年までに25%削減を明記しています。
 本条例案では、道が策定することになる地球温暖化対策推進計画の温室効果ガスの特性・吸収量の目標に中期目標を設定し、より高いものを積極的に目指すことを書き込むことを御提案したいと思いますが、いかがでしょうか。

○星野議員 地域目標の関係につきましては、先ほどの執行部との質疑を聞いておりましたら、その中にも出てきたのであります。
 各国、特にEU等の取り組みというのは、学ぶところが非常に多いと、私も思っています。
 サミットの開催国でありますから、今後は我が国におきましても排出権取引なり、中期目標問題なり深く議論されていくであろうと思っておりますし、そうした段階では、せっかく国をほんの少しでも上回ったものをつくって少しずつやっていきたいと思っているところで、追い抜かれてしまったら意味がありませんので、そのような状況変化を踏まえながら、見直し条項も設けておりますので、ぜひ今後の状況変化に応じた対応をしてまいりたいと思います。
 とりあえず、スタートをして、すばらしいものにしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

○真下議員 具体的な計画については、環境生活部のところで議論されるわけですから、そこに期待するということで。
 特定事業者についてですけれども、条例案にある特定事業者はどのような事業者と想定されているのか、お伺いします。

○日下議員 特定事業者についてでありますが、特定事業者の要件、範囲は規則で定めることとしております。
 次のようなものを想定しております。省エネ法に規定する第1種、2種エネルギー指定管理工場、24時間営業のコンビニエンスストア等、自販機業者、これは原則的に原油換算のエネルギー使用量の合計が1500キロリットル以上の者、トラックで100台以上保有している者、バスで100台以上保有している者、タクシーは150台以上保有している者、ということでございます。

○真下議員 順を入れかえて最後の質問を先にしたいと思うのですけれども、今ありました特定事業者の中で、コンビニエンスストアと自動販売機についてですけれども、24時間営業を行っているわけですね。
 日常生活には不可欠な存在とはなってはいますけれども、一方で世論調査では温暖化防止のためには我慢できると答える方々が非常にふえてきています。私もそう思います。
 これまでもいろいろな機会に、私も提案してきたのですけれども、夜間をはじめ、電気消費量の削減に向けて、営業時間の短縮ですとか、省エネ型機器の積極導入など、業界挙げて取り組んでいくことが必要不可欠だと考えています。こうした業界の取り組みをさらに促進するための内容を条例に盛り込むことも提案したいのですが、いかがかでしょうか。

○日下議員 コンビニエンスストアや自販機などにおける取り組みでありますけれど、24時間営業を行っておりますコンビニエンスストアや自動販売機業者、これについては、特に温室効果ガス削減の取り組みが必要と考えております。
 年間のエネルギー使用量が1500キロリットル以上の者については、規則によって温室効果ガス削減等計画の提出を義務づける、こういったことを想定しているところであります。

○真下議員 次ですけれども、東京都は今、6月定例都議会で大幅なCO2削減を実現するために、環境確保条例の改正案が提案されていると承知しております。
 その主な事項に、大規模事業所への温室効果ガス排出総量削減義務が盛り込まれております。国際的には当然のことと考えますけれども、地球温暖化対策推進計画によるのではなく、本条例案の中で位置づけるべきと御提案したいのですけれども、いかがでしょうか。

○日下議員 大規模事業所への温室効果ガス排出総量削減義務などについてでありますが、本条例案は特定事業者が自主的に策定した削減計画、これを公表するという点が制度の骨格となっているところであります。
 対象事業者の理解を得ながら、できるところからスタートするという現実を御理解願いたいと思います。

○星野議員 補足させていただきます。
 規制をしろというところに、自主的な計画でとりあえずやらせてくれと言っているわけですが、自主的と言ってもそれを公表するというところで、自主的だからほんの少しやればいいということでは済まないと思うのです。
 今の社会全体が考えている妥当性というもの、しかし、自分の事業に差しさわりが出てしまってはこれもまただめなので、その絶妙なバランスを事業者は勘案しながら、計画を立てていくと。お互いに検証し合いながら、お互いに努力しながら進めていく制度と理解をしていただきたいと思います。

○真下議員 東京の取り組みはローカルプランの中でも取り組むということで位置づけられているわけですけれども、国の方がそのようになっていない、ですから道の取り組みでも産業界との連携が完全に欠落したところがあると指摘せざるを得ないわけです。 
国と産業間との協定について、EUでは随分と変わってきていまして、イギリスでは産業連盟の担当者が、気候変動問題の解決には産業界の果たす役割は決定的だと述べています。
 その上で、経済成長とは両立するのだと、むしろビジネスチャンスであり新たな産業革命だと、ここまで発言しているわけですね。
 むしろそうすることによって、長期的なメリットがあると強調しているわけですけれども、実際、政府と50以上の産業セクターごとに削減協定を結んで6000の企業がイギリスでは参加していると。ドイツでも産業団体と協定が締結されて、12年までに35%削減の目標を打ち出しているということなのです。
 ですから、たとえローカルビジョンとはいえ、公的削減協定締結は必要だと思うのですが、いかがでしょうか。

○高橋議員 排出量取引制度の導入についてでございますが、排出量取引制度については総量規制の考え方が前提となるものでございまして、国においても検討が開始されたと考えております。
 御指摘のとおり、本道は山間地、そして森林面積が多いという特性を持っております。先ほども包國議員とも議論させていただきましたけれども、これらを有効活用できるというのは私どもも同感であります。
 なお、本条例案におきましても、事業所が行う補完的手段ということで、企業と道民の統一につきまして制度上は道を開いたという方に考えているところでございます。

○真下議員 先ほど中小規模の事業所のこの条例による影響についての懸念が発言されておりましたが、同じく東京では、中小規模事業所の地球温暖化対策推進制度の創設が入っています。
 行政がバックアップをすることが必要と思いますし、条例案で地球温暖化対策推進計画に盛り込むよう言及すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○高橋議員 日本の産業を支えております多くは、8割と言われておりますが、中小企業でございます。従って先ほどから議論されている第1種、第2種ということもございますけれども、今私どもは、中小企業の方々につきましても、規定で盛り込むことができる、1500キロ、3000キロでなくてもやるといいますか、盛り込むことができるということで、中小企業の方々の意欲的な取り組みをピーアールできる制度とさせていただいたと思っておりますので、より多くの方々がこれに参加していただければと思っております。

○真下議員 具体的な制度については、理事者の方も聞いておられますので、ぜひ、その点を検討していただきたいと思います。
次に東京では、地域におけるエネルギーの有効利用に関する計画・制度の創設と大規模開発における省エネ制度の目標値の設定、未利用エネルギーの活用検討が盛り込まれております。
本道では全国一の風力発電地帯となっているわけです。国に先駆けバイオマスをエネルギー資源と位置づけた条例も持っております。雪氷冷熱などにも先進的に取り組んでいるわけです。ローカルエネルギーの有効利用に関する計画・制度の創設は積極的に取り入れるべく、条例案に反映させてはいかがかと思います。
 また、自然再生エネルギーの買い取り制度が普及にとって不可欠であると、私これまでも主張してまいりましたが、この買い取り制度について条例案への反映をいかがお考えか、伺います。

○星野議員 まず、初めの方ですが、要するに化石燃料を使えば使うほど二酸化炭素は出るわけでありまして、その化石燃料に頼らない再生可能エネルギーの使用をふやしていくということが重要だと思いまして、この条例案の中でも、事業者も道民も再生可能エネルギーをできるだけ使うということを盛り込ませていただきました。
買い取り制度の話ですが、ドイツというのは非常に進んだ国でありますが、本道と同じくらいの広さでありますが、酪農をやっている村で、エネルギー農家というのがある。通称、そういうふうに呼ばれているわけですが、家畜糞尿を管理、メタン発酵して発電をして、それを電力会社が買い取る義務があるのです、その地域では。
 そうすると、その農家は1年間の収入の半分を売電に寄っているというようなびっくりするような村がありました。
 そこの発電機をつくっているメーカーが北海道に商売にならないかと考えて1年間リサーチしたようであります。
町村農場に入っているシマックという会社ですが、1年間調べてみて十分な家畜糞尿の量がある、酪農家の集積もされている、これは商売のターゲットになるかもしれないとなったのですが、残念ながら、日本にはドイツの州のような買い取り制度がないために、時期尚早だとなって引き上げたという経過があるそうです。
 ドイツでは、簡単に電力会社が買い取ったらコストが高いものですから、事業者の営業に影響が出てくるのですけれども、その州の場合には電気料金に最終的にはね返ってもいいということを、州民が合意してそちらの電気を使えば、時間当たり5円なり10円なり高くてもいいのだと、州民単位で合意をされていることが前提になってできあがっていると聞きました。
 すばらしい制度だとは思いますが、そこに到達するにはいろいろな問題があると思いますので、これから、同じような酪農地帯を抱える北海道としても大いに勉強になる、参考になることだと思いますから、いろいろなハードルは研究しながら、乗り越えられるものについては乗り越えて行く必要があると考えています。

○真下議員 バイオガス発電については、規模が大変大きくなりますので、非常に投資しなければならないということで、課題があることも存じておりますけれども、風力発電などに未来が開ける、北海道がローカルエネルギーの基地となる、そういう未来が開けるエネルギー政策に変えていくことが、私は必要だと思っております。
 最後になりますけれども、先ほども部長に答弁をいただいたのですけれども、スターンレビューについてお伺いします。
 気候変動の経済学と言われていいますが、この考え方は地球温暖化対策について、強固で早期な対策によりもたらされる便益は、対策を講じなかった場合の被害額を大きく上回ると、早期に効果的な対策を実施するほど対策コストを低く抑えることができると、こういう考え方に立っています。
 私はこのような立場を北海道でも取り入れるべきではないかと思います。条例案に反映させてはどうかと思います。
 先ほどの答弁に、経済界も随分と考え方が変わってきたと、世界の流れに乗りおくれますと、ビジネスチャンスを逃すことになりますので、やはり、そこのところはしっかりとつかまえていくべきではないかという立場で質問したいと思いますが、いかがでしょうか。

○星野議員 私、実は勉強不足で真下議員から教えていただいたのですけれども、スターンレビューについては、すばらしい考え方だと思います。
 今、対策をとれば、世界のGDPの1%あれば世界の環境は守れると、しかしこれをどれほど先送りするかによって%は違ってきますけれども、先送りすれば今1%で済むものが5%なり、20%かかってしまうことも言われているようであります。
 日本は依然として世界のランクでCO2排出ランクは第5位となっておりますが、一方で再生可能エネルギーの開発技術等については、世界の最高水準を持っているわけでありますから、そのような技術をさらに生かしていく考え方に立って、技術を生かしていくことが重要だろうと思っております。
 この条例の中でも再生可能エネルギーの使用を盛り込んでいるわけですが、スターンレビューの考え方の中には、排出量の取引や税、さらには個人の排出量の規制なども盛り込まれているようでありまして、相当ハイレベルといいますか、難しい課題はたくさんあると思いますが、目指すべき目標の一つだとは思いますから、今後あらゆる場面で皆さんと一緒に研究、検討していく必要があると考えています。以上でございます。

○真下議員 最後にですが、世界のCO2排出の95%を占める70カ国のうち、世界銀行による温暖化対策評価で日本は62位、先進国中最下位です。
 環境NGOからは化石賞を何度も受賞するという、名誉ある地位を確保しているわけですけれども、アメリカ、カナダとともに号外3人組とまで言われています。これが日本の国際評価なのです。
 こうした中、北海道が地球温暖化防止対策条例を制定することは非常に意義があると考えますとともに、提案された民主党・道民連合には敬意を表したいと思います。
あわせて、委員の皆様には質疑の機会を与えていただいたことを最後に感謝申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○織田委員長 真下議員の質疑の終了を宣し、東委員を指名。

○東委員  委員長にお願いなのですけれども、質疑は終わりましたが、理事会での申し合わせどおり、特に理事者への、今回はあくまでも地球温暖化防止対策条例に対する質疑、これを目的としております。
 理事者への質疑に関しましては、あくまでも事実関係どおり、数値であるとか、その確認の質疑であると、そういった点をぜひ留意していただいて、同様の委員会においては議事の運営に努めていただいて、議事の整理をお願いしたいと申し上げたいと思います。

○織田委員長 ただいま、東委員から要望事項がありましたので、理事会に諮りそのように進めてまいりたいと思いますので、よろしくご了承願いたいと思います。よろしいですか。

○勝部委員 ということは、今の真下議員の理事者側の答弁について、議事録的に整理しなければならないという意味でしょうか。

○東委員 少なくとも、理事者側に提案や要望をする場ではないという、そういうことであります。

○織田委員長 本件に関し、今後については、そのことを踏まえて理事会に諮る旨を確認し、質疑等を求めたが、特になく、本件はこの程度にとどめる旨を諮り、異議なく決定。
本日の議事は以上であるが、その他発言を求めたが特になく、本日の議事はこの程度にとどめる旨を諮り、異議なく決定。
 次回委員会の開催については、理事会の協議により決定したいので、委員長に一任願う旨を述べ、散会を宣した。

                             
午後 4 時 5 分散会


HOSHINOTAKASHI 地球温暖化防止条例プロジェクトの足跡