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夕日の中の東京タワー (2005.11/18) |
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昭和22年から24年に生まれた第一次ベビーブーマー。彼らは団塊の世代と呼ばれている。
22年組は2007年中に還暦を迎える。その後三年間、およそ800万人の定年退職者が日本中を埋め尽くす勘定だ。
まわりはみんなライバル。生まれてから死ぬまで、よくまあと思うほどに競い合う姿に感心する。
食糧難、受験戦争、経済成長、バブルの崩壊と、彼らは、その時々の話題の中心にいた。
学校の中で、企業の中で、つまり組織の中で競い合いながら生きてきた彼らが今、地域に戻る。いわゆる2007年問題である。
いつもライバルに囲まれてきた彼らが、そのまま「ご隠居さん」になるとは思えない。
組織から解放された団塊の世代が、地域でどう生きるのか、観客としては期待するものがある。
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映画『三丁目の夕日』を見た。
昭和33年の東京が舞台だ。小学校低学年の子どもの周辺で起きる様々な「事件」。貧しくも人情味豊かな人々の生き方を描き出した作品は、お薦めものである。
時代設定からすれば、団塊の世代は、9歳から11歳。生きること自体に全力を使い、同時にその意味を問い続けた団塊の世代。彼らはこの映画を、自らの少年時代と重ね合わせ、涙ながらに観るのだろうか。
この年は東京タワーが完成した年だ。当時の東京は、原っぱの向こうに駄菓子屋がある、そんな子どもたちの遊び場だった。
棒きれを持ち、くる日もくる日も、走り回っていた小学二年生の私は、映画の中の一平と同じ歳のはずだ。団塊より二つ年下だ。
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夕日の中、毎日少しづつ空に向かって延びていくタワーを眺めるのが、私は好きだった。
映画のラストシーンのように。
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