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猫の留守番 (2001.8/27) |
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お盆が終わって、十日も経つのに、まだ暑い。
僕は、大学のある一時期を除いて、中学一年の時から欠かさず盆踊りを踊り続けてきた。「なんで」と聞かれても困るが、ゆったりと会場を包み込む一体感がたまらなく好きなのである。
初めての時のことを、今でもはっきり覚えている。
ミッチャン(母の妹)が、嫌がる少年の背を押して、「一周してきたら、カルピスおごってあげるから」というのだ。今にして思えば、カルピスで買収される中学生というのも、情けない。
見様みまねで一周すると、これがなかなか面白いではないか。
以来、病みつきとなってしまった。
日本の祭りは、伝統的に道を練り歩くスタイルが多い。神社仏閣からスタートし、町中を一周して元に戻ったりする、いわゆるパレードだ。みこしや山車が公園の中でウロウロしていても様にならない。
それに対して、ヨーロッパではステージを中心とする広場の催しが一般的のようである。これは中世の都市が、どのように創られてきたかという歴史とも関係があると聞いた。
放射線状に延びた道路が交差する中心点は、まさに地域の中心である。役所、裁判所、銀行、劇場などによって広場の周囲がつくられている光景は、特にイタリアなどでよく見られる。
その広場で年に何回か、伝統的祭りが催されるわけである。
やぐらを囲んで、ぐるぐる回る盆踊りは、日本古来のものでありながら、広場的祭りという意味では、極めて欧州的といえるだろう。ついでに言えば、YOSAKOIがどちらの部類なのか、僕にはわからない。
ただし、本来参加者の手作りが祭りの基本だということからすれば、年々大仕掛けになっていくYOSAKOIのステージ企画は、遠からず見直される気がする。
さて、再び盆踊り。
踊りとは、関係なく輪の中を走り回る子どもたち。それを捕まえようと、腰をかがめながら追いかけ回す若い親たち。そして祖父や祖母。
なんとも微笑ましいこの光景は、時代がどう変わろうと、いつまでも見られるに違いない。
ところで盆踊り会場では、よく犬を見かけるが、不思議と猫は見ない。家でお留守番なのだろうか。
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