HOSHINOTAKASHI


マジックミラーに映るもの(2000.11/13)


  映画「学校」の最新作を見た。友達に付き合った前売り券があったので、くらいの軽い気持で出掛けた松竹。久しぶりの山田洋次監督である。
  物語は単純で、登校拒否の少年が旅先で出会ういろんな人を通じて、変わっていくというものだ。ストーリーはシンプルでも、一つひとつの出会いが、なかなか見せる。さすがは山田監督、という映画だ。
  余談だが、主人公の少年は、「ふーてんの寅さん」の博の息子(名前は忘れた)に、瓜二つ。何百人ものオーディション参加者から選んだんだろうが、監督好みなのだろう。

  人間は、様々な場面で出会った「他人という鏡」に映る自分を見ながら成長していく。

  さて、国政がひどい。「神の国発言」にはじまった一連の失態、数の力による暴力的とも言える国会運営、女性問題や右翼団体との交際問題での官房長官の辞任。

  こんな動きを見ていると、生活と政治の間に、まるで大きなマジックミラーが置かれているのではないかと思えてくる。生活の側からは、政治の恥部が丸見えだ。総理大臣を主役に繰り広げられる、くだらない演劇ショーを、これ以上、生活者である国民は見るに忍びない。

  マジックミラーだから、向こう側からこっちは、見えない。鏡に映るのは、醜悪な権力抗争を繰り広げる自分たちの姿だけである。

  これでは、成長のしようがない。

HOSHINOTAKASHI