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東大のトイレと、逃げていく泥棒(2001.1/16) |
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学生の頃、東大教養学部にある駒場寮のトイレに入ったことがある。「煙草の吸い殻を便器に捨てないこと」という張り紙は、珍しいものではない。だが、それに続く「何故か」という能書きが振るっていた。
「ニコチンによってバクテリアが死滅し、その死骸が管を詰まらせる。従って、煙草を捨ててはいけない」というものである。「東大生は、トイレに吸い殻を捨てないのにも、理屈がいるのか」と、あきれたものだ。
続いて最近の話。立ち寄ったコンビニでトイレを借りた。そこの張り紙には、「きれいに使っていただき、ありがとうございます。また、ご利用下さい」と、あった。これは、理屈抜きですごい。「汚くするな」とは一言もないのに、自然ときれいに使いたくなる。
用を足しながら、北風と太陽の童話を思い出していた。
これをしてはいけない、あれもしてはいけない、と規制を強めても、効果が上がるとは限らない。逃げていく泥棒に、「逃げてはいけない」と言って、待つ泥棒はいないのと似ている。
北海道には、屋外広告物規制条例というのがある。大き過ぎる看板や景観を壊す広告物を抑制するものだ。一定の効果はあるだろうが、規制だけを強めても、統一感のある街は出現しない。
そこで検討が進められているのが、あるべき街の姿を理念としてまとめあげようという、「北海道景観条例」だ。
イタリアににシエナという美しい街がある。九州にも湯布院という美しい街がある。共通するのは、統一された街の色調だ。学ぶところは大いにある。
道の景観条例に続いて、市町村の条例も作られていくだろう。それぞれの地域性や伝統を大切にした、ポリシーのある街づくりを期待したい。
さて、ガレージのケージの中で生活をしている二羽のウサギたち。彼女たちは、字が読めるわけでもなく、理屈がわかるわけでもないのに、決められたプラスチックのトイレの中で、きちんと用を足す。
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